種別 論文
主題 超音波法によるアルカリシリカ反応の非破壊評価に関する研究
副題
筆頭著者 尼崎省二(立命館大学理工学部)
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キーワード
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先頭ページ 751
末尾ページ 756
年度 1990
要旨 はじめに
近年、コンクリート構造物の早期劣化・損傷が社会問題となるとともに、コンクリートの非破壊試験および品質評価方法の確立に関心が持たれている。非破壊試験結果から何等かの診断を下すには、試験方法が診断目的に合致していると同時に、コンクリートの品質あるいは品質変化が試験結果に及ぼす影響を明らかにする必要がある。コンクリートの品質低下の一因であるアルカリシリカ反応(ASR)を超音波法(音速)で評価する場合には、ASRによる損傷が超音波パルス伝播速度にどの程度影響するかを検討することが必要となる。実構造物におけるアルカリ骨材反応の変状調査結果によれば、ASRを起こしたコンクリート構造物の音速は3.5km/s以下になるとの指摘がなされている。しかしながら、これらの報告はASR損傷が顕著になった時点での測定結果であり、ASR損傷構造物の補修の観点からは、より早い段階でASRを発見することが必要である。アルカリ骨材反応によるコンクリートの物性変化の研究は比較的小さい供試体を用いた例が多く、音速の低下は実構造物ほど大きくないのが現状であり、音速により適切に非破壊評価をするには、さらにデータを積み重ねる必要があると思われる。本研究は、コンクリート構造物のASR損傷の超音波法による非破壊評価方法の基礎的データを得るために、大小2種類の鉄筋コンクリート供試体を用いて、ASRによる膨張ひずみと音速の関係および残存膨張量測定のためのコア採取時の膨張量変化を検討したものである。
まとめ
本研究の結果をまとめると以下のようになる。(1)ASRによる強度低下は、供試体よりもコアコンクリートが著しく、コア強度は1/2程度に低下する。またASRを受けたコンクリートの弾性係数はばらつきが大きい。(2)促進養生による膨張特性は複雑であるが、供試体が大きくなると、ASR膨張は測定位置により異なる。また小さい供試体ほど内部温度の上昇が早く、劣化も早い。さらにひびわれの発生によりコンクリート内部の温度上昇が早くなり、劣化が加速される。(3)同じ鉄筋比であっても、鉄筋間隔が小さいほどASR膨張拘束効果は大きくなるが、音速に及ぼす鉄筋の影響が大きくなり、ASR膨張によっても音速の低下は大きくならない。構造物の音速測定によるコンクリートの品質評価にあたっては、鉄筋の影響を考慮するか、あるいは音速の経時変化を測定する必要があると思われる。(4)膨張拘束の程度にもよるが、コア採取時には100×10-6程度の膨張が生じ、ASR膨張を生じたコアの音速は供試体よりも低下する。低下の程度は音速測定装置によって異なる。
PDFファイル名 012-01-1128.pdf


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