種別 論文
主題 FRPロッドで補強したコンクリート部材特性の改善方法の提案
副題
筆頭著者 橘田敏之(熊谷組)
連名者1 池田弘(熊谷組)
連名者2 本田勉(熊谷組)
連名者3 大原英史(熊谷組)
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
1
先頭ページ 1087
末尾ページ 1092
年度 1990
要旨 まえがき
FRPで補強したコンクリート部材は、FRPの剛性が低いために、鉄筋で補強したコンクリート部材より曲げひびわれが発生しやすく、またひびわれ発生後のたわみも大きくなってしまうことが報告されている。したがって部材のたわみ制御が要求される場合には、鉄筋補強部材より低いレベルで設計荷重を設定せざるを得ず、すなわち引張側のFRP主筋の負担応力を低いレベルに抑制することになるので、FRPの高強度性という特徴が全く活かされない結果となる。FRP補強部材のこのような曲げによるたわみ特性を改善する方法としてプレストレスの導入が有効と考えられるが、以下ではFRPの高強度性を活用するため、低レベルに抑制されたFRPの余剰の強度部分を緊張材として利用する方法を試みた。つまり、鉄筋代替材として適用したFRPをプレテンション緊張材としても兼用するわけである。この方法は鉄筋の余剰強度部分の利用法として既に提案されているが、鉄筋は高剛性なので緊張に伴う伸びが小さいから、長期的にはコンクリートの乾燥収縮やクリープのためにプレストレスは減少し、そのプレストレス導入効果は比較的初期に限定される。ところがFRPは緊張に伴う伸びが大きいから、プレストレスは長期的にも残存する。すなわちこの主筋を緊張材として兼用する方法は、FRPという高強度でかつ低剛性の素材を適用することにより、はじめてその真価を発揮することになる。以下では主筋として配置したFRPロッドをプレテンション緊張材として兼用したはり供試体を作成し、その載荷試験を行って確認した曲げ特性の改善について述べるとともに、プレストレスによるせん断特性の改善についても考察を加えた。
まとめ
本研究で得られた成果は以下の様にまとめられる。(1)主筋をプレテンション緊張材として兼用する方法で導入したプレストレスの有効率は、3週間後でFRPの場合0.9、鉄筋の場合0.4であった。したがって本方法で長期的にプレストレスを期待する場合には、FRP補強筋の方が有利である。(2)導入したプレストレスにより、部材のたわみ、および曲げひびわれ幅は抑制され、期待どおり曲げ特性が改善される。またその改善効果は、本論文で示した計算方法により良く説明できる。(3)FRPスターラップによるせん断補強は、せん断耐力の増加においては鉄筋スターラップとほぼ同等の効果がある。ただし弾性係数の影響でせん断剛性が低く、変形の抑制効果は小さくなる。しかし、本方法で導入したプレストレスにより、せん断剛性もまた改善される。FRPを補強筋として適用する場合、FRPが低剛性であることは、たわみ、ひびわれ幅が大きくなってしまうためにむしろ欠点と考えられてきたが、以上の本研究で示したFRP主筋をその余剰の強度部分を利用してプレテンション緊張材として兼用する方法により、FRP補強部材の特性を鉄筋補強部材と比較して、使用状態においては同等以上のレベルまで改善することができた。さらに本方法で鉄筋を緊張材と兼用した部材と比較してもほぼ同等レベルとできた。これはFRP補強筋の低剛性という特徴を逆にメリットとして活用できたためで、さらに高強度、軽量、耐久性に優れる、非磁性といった他のメリットと併せ、FRPの付加価値を高めることができたと考えられる。
PDFファイル名 012-01-1190.pdf


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