種別 論文
主題 RC橋脚の震害損傷度と補修後の復元力特性との関係
副題
筆頭著者 横井克則(徳島大学大学院)
連名者1 水口裕之(徳島大学工業短期大学部)
連名者2 島弘(徳島大学)
連名者3 秋林稿(徳島大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 1287
末尾ページ 1292
年度 1990
要旨 はじめに
鉄筋コンクリート橋脚(以下、RC橋脚と呼ぶ)が地震によって損傷を受けた場合、復旧物資運搬などの必要性から、早期の復旧が望まれる。また、損傷が軽微なものに対しては、再建設することに比べた経済性の面から、補修が行われる。そのため、道路震災対策便覧では、軽微な損傷に対してエポキシ樹脂による補修を指示している。これは、工ポキシ樹脂が接着性に優れ硬化時に収縮しないこと、耐久性や防水性等の性能が優れていること、さらに構造部材の耐力や変形性能の回復も十分期待できることなどの理由によるものである。エポキシ樹脂によって補修されたRC橋脚の性能回復については、これまでにいくつかの研究がなされているが、まだ多くの問題点が残っている。その1つに、補修後の復元力特性を明らかにすることがある。著者らは、1次地震による損傷度が補修後の復元力特性におよぼす影響を実験的に調査し、補修後の復元力特性の違いを示す良い損傷度指標は、1次地震における塑性率μ(μ=δmax/δy:ここで、δmax=最大応答変位、δy=降伏変位)であることを示し、塑性率をパラメータとした劣化復元力モデルを提案した。しかし、この実験は実地震波形を用いているため、補修前後の復元力特性を明確に比較するには困難がある。また、RC橋脚の復元力特性に影響する要因には、(1)せん断支間比、(2)主鉄筋比、(3)帯鉄筋比、(4)軸方向応力度などがあるが、これらが与える影響についても考慮されていない。そこで本研究では、曲げ破壊型を対象とし、エポキシ補修によるRC橋脚の復旧の可否を判定する資料を得るために、1次地震における損傷度と補修後の復元力特性との関係を実験的に調べた。また、供試体の主鉄筋比を3種に変え、主鉄筋比の違いが、この関係に及ぼす影響を調べた。載荷方法は地震に対する正確な荷重変位曲線を得るために動的載荷とし、入力波形は増幅波を用いた。
まとめ
本研究は、1次地震での損傷度が異なる震害補修したRC橋脚の再来地震時の復元力特性に及ぼす1次地震での損傷度の影響を動的載荷で調べたものである。補修前後の復元力特性の比較は、最大耐力比、エネルギー吸収能、剛性および靱性といった復元力特性を表すためのパラメータで行った。また、主鉄筋比を変化させてその影響を検討した。1次地震の損傷度の大きさは、曲げひび割れのみから鉄筋座屈までの広い範囲とした。その結果、以下のことが明らかになった。(1)復元力特性を表わす最大耐力比、エネルギー吸収能、剛性、靱性などのパラメータは、補修前後で大きな変化はなかった。すなわち、1次地震での損傷度の大きさは、補修前後の復元力特性には大きく影響しない結果となった。ただし、エネルギー吸収能は、再来地震時による損傷が大きくなると、1次地震での損傷度が大きくなるにつれて若干ではあるが大きくなる傾向がある。これとは逆に、剛性は、再来地震時による損傷が小さい範囲では、1次地震の損傷度が大きくなるとともにわずかに大きくなる傾向がある。(2)主鉄筋比を変化させると、エネルギー吸収能や剛性自身の値は変化する。しかし、1次地震での損傷度に対する傾向は(1)と同様になった。これらの結果によると、1次地震での損傷が、かぶりコンクリートの剥離および鉄筋座屈の域に達していてもエポキシ樹脂補修で十分であると判断できる。しかし、本実験は小型の供試体を用いた場合であって、実物とは補修の程度が異なることも考えられ、今後検討する必要がある。
PDFファイル名 012-01-1224.pdf


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