種別 論文
主題 繰り返し曲げせん断を受ける13000キロ級の高強度せん断補強筋を用いたRC梁のせん断および付着割裂破壊性状
副題
筆頭著者 中沢淳(川鉄テクノワイヤ)
連名者1 塚本尚由(佐藤工業)
連名者2 倉本洋(鴻池組)
連名者3 南宏一(大阪工業大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 221
末尾ページ 226
年度 1990
要旨
鉄筋コンクリート(以下、RCという。)部材の破壊形式としては、曲げ破壊、せん断破壊および付着割裂破壊の3つに大別できる。しかし、曲げモーメント、せん断力および軸力の複合応力下におけるRC部材では、特殊な場合を除いてはそれらの破壊が独立に生じることは少なく、曲げせん断破壊、付着割裂せん断破壊など、複数の破壊形式が混在する場合が多い。それらの破壊形式の一つとして曲げ降伏後の付着割裂破壊がある。この破壊は、近年のRC構造物に対する超軽量化および超高層化の要求、さらには梁降伏型の全体崩壊形を念頭に置いた耐震設計法の発達によって、特に、梁部材において生じる可能性か多くなるものと考えられる。一方、ここ10余年の間に、13000キロ級の高強度せん断補強筋を使用したRC梁および柱部材に関する実験的研究が精力的に行われてきており、それらのせん断破壊性状および高強度せん断補強筋の有効性が明らかにされてきている。しかしながら、それらの研究のほとんどは、曲げ降伏する以前にせん断破壊を生じるRC部材を対象になされたものであり、高強度せん断補強筋によるRC部材の靭性改善効果に着目したものは少ない。そこで、筆者らは、曲げ降伏後にせん断破壊あるいは付着割裂破壊を生じるRC梁に対して、13000キロ級の高強度せん断補強筋による補強効果を把握することを主目的として、せん断補強筋比、引張鉄筋比、コンクリート強度およびせん断補強筋の加工形状の異なるRC梁9体の実験を行った。本論では、これらの実験結果より高強度せん断補強筋を用いたRC梁の曲げ降伏後のせん断破壊性状および付着割裂破壊性状に及ぼす各実験変数の影響について考察し、高強度せん断補強筋による靭性改善効果について検討する。また、筆者らの提案する修正南式および8000キロ級の高強度せん断補強筋を使用した部材に対する設計式として提案されているK.S.S.式による計算値と実験値を比較し、それらの式の有効性についても併せて検討する。
結論
本論の結論を以下に要約する。(1)曲げ降伏後に付着割裂破壊を生じるRC梁に対して、せん断補強筋量を増加させることは付着ひび割れの伸展および拡幅の抑制に役立ち、付着割裂破壊の遅延に極めて有効である。(2)曲げ降伏後の付着割裂破壊はコンクリート強度が大きいほど、また、引張主筋比が小さいほど遅延される傾向にある。(3)同一せん断補強筋量であれば、RC梁の耐震性能に対してスパイラル形式と135°フック形式による差異は認められないが、キャップタイ方式では付着割裂破壊を促進する傾向がある。(4)修正南式は、高強度せん断補強筋を使用したRC梁の耐力を精度良く評価することができ、さらに、部材の破壊形式を適切に判別することができる。(5)修正南式およびK.S.S.式では、min(Qs、Qb)/Qfによって与えられる脆性破壊余裕率によって付着割裂破壊時の部材角をある程度推定することが可能である。
PDFファイル名 012-01-2035.pdf


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