種別 論文
主題 水中環境下におけるRCはりの疲労寿命予測に関する研究
副題
筆頭著者 西林新蔵(鳥取大学)
連名者1 井上正一(鳥取大学)
連名者2 吉野公(鳥取大学)
連名者3 熊野知司(清水建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 287
末尾ページ 292
年度 1990
要旨 まえがき
近年、コンクリート製の海洋構造物が建造される機会が増えているが、この種の構造物は従来の陸上構造物に比べて極めて過酷な環境下に設置されることになる。この過酷環境は、鉄筋腐食やコンクリートの劣化をもたらすだけでなく、波による繰返し荷重を考えた場合、鉄筋は(1)変動荷重下では疲労限が低下する、(2)腐食環境下においては疲労限が消失する、(3)湿潤環境では鉄筋およびコンクリートの疲労強度は気中におけるよりも大幅に低下する、といった材料の力学的特性の低下が引き起こされる。このような場において、コンクリート構造物の合理的な設計を行い、かつ耐用期間中に構造物がその機能を十分に発揮することを保証するためには、使用材料の疲労特性は勿論のこと、複合材料としての鉄筋コンクリート部材の疲労特性をも十分に解明しておくことは極めて重要である。このような観点から、本研究では海洋コンクリート構造物の疲労性状、とリわけ疲労寿命を明確にすることを目的として計画した。すなわち、RCはりの水中と気中での疲労試験を実施し、水の存在がはりの破壊様式や疲労強度に及ぼす影響を明らかにしている。さらに、繰返し荷重下で曲げ破壊したはりに対し、その破壊様式をコンクリート圧潰型と鉄筋破断型に分類し、材料レベルのS-N線図から部材レベルの疲労寿命を予測する際のコンクリート標準示方書の考え方の妥当性と問題点を整理し、新たな寿命予測式を提示している。
まとめ
本研究は、海洋コンクリート構造物の疲労性状を把握するための手始めとして、水中環境下におけるRCはりの曲げ疲労性状を検討し、併せてよリ精度の良い疲労寿命の予測手法を開発することを目的として行ったものである。ここでは、研究の範囲内で明らかになったことを列挙し、結論とする。(1)RCはりの曲げ疲労破壊様式は気中と水中で異なり、気中では主鉄筋の疲労破断によって破壊するはりであっても水中ではコンクリート圧潰型の破壊になりやすくなる。(2)水中におけるRCはりの曲げ疲労強度は気中で主鉄筋の破断で破壊するはりのそれに比べて15%程度低下する。(3)RCはりの疲労寿命予測において、応力勾配が疲労に及ぼす有利な影響を考慮して導入された低減係数βは、土木学会のようにβ=4/3と一定値を示さず、はり上縁応力比の大きさに依存して変化する量であるといえる。コンクリート強度300〜600kgf/cm2の範囲におけるβの暫定値として次式を用いることを提案する。水中:β=0.291+1.619・Sb≧1、気中:β=0.290+1.039・Sb≧1(4)水中において主鉄筋の破断で破壊するRCはりの疲労寿命の予測式として、土木学会が規定している鉄筋のS-N線式は適用できない。
PDFファイル名 012-01-2046.pdf


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