種別 論文
主題 鉄筋コンクリートひびわれ面におけるせん断伝達特性
副題
筆頭著者 李宝禄(清華大学)
連名者1 前川宏一(東京大学)
連名者2 岡村甫(東京大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 293
末尾ページ 298
年度 1990
要旨 まえがき
鉄筋コンクリート構造物においては、載荷や乾燥収縮などの影響でひびわれが発生することは一般的である。言い換えれば、構造物にひびわれが存在しながらその役割が果たされているのである。プレキャストコンクリート構造、はりと柱の接合部、RCコーベルやブラケットなどの構造物は、ひびわれが生じた後の力学的挙動はそのひびわれ面での応力−変形特性に大きく依存し、構造物全体の終局耐力もひびわれ面の耐力により決まる場合が少なくないと考えられる。一方、RC容器、せん断壁、シェルのような構造物は内圧や地震力などにより平面応力状態にあるが、これらの構造物の解析および設計をするに際して有限要素法がよく応用される。そのため、ひびわれが発生したときのひびわれ面に沿った応力伝達特性を正確に把握しなければならない。本研究では、鉄筋がひびわれの直角方向にあるときのひびわれ面での応力伝達特性を解明するため、RCはりのひびわれ面にせん断力が働くように載荷する実験を行い、また筆者らが提案したプレーンコンクリートひびわれ面での応力伝達モデルと島・岡村により提案された鉄筋とコンクリートの付着モデルとを組み合わせて、RC要素のひびわれ面におけるせん断伝達性状を定式化することを試みる。
まとめ
単調載荷を受けるプレーンコンクリートのひびわれ面で伝達されるせん断応力の表示式から鉄筋コンクリートのひびわれ面でのせん断強度を計算することができる。鉄筋がひびわれ面の直角方向に配置されているとすれば、このひびわれ面で伝達される最大せん断応力は鉄筋が降伏するときにひびわれ面に与える圧縮応力で決まる。さらに、ひびわれ面に外的圧縮あるいは引張応力が作用するとき、鉄筋と同時にひびわれ面に圧縮を加え、摩擦機構と同じように、ひびわれ面のせん断耐力に影響を及ぼす。ひびわれた鉄筋コンクリートのせん断応力伝達特性については、プレーンコンクリートに適する応力伝達モデルを鉄筋とコンクリートの間に成り立つ付着応力−すべり−ひずみ関係と組みあわせて、しかもひびわれ面の近くにあるコンクリートの鉄筋のねじれによる局部的付着の低下を考慮に入れれば、ひびわれた鉄筋コンクリートのせん断伝達特性を定量的に予測することができる。これは異なった鉄筋径、鉄筋比、コンクリート強度をもつ供試体にも適応することが実験から検証された。一方、本研究は限られた供試体によるものであるため、モデルの検証をするには、さらに系統的な実験を行うことが必要と考えられる。また、ひびわれ面近傍の付着の低下に関する仮定についても、さらに詳しく検討したいと考えている。
PDFファイル名 012-01-2047.pdf


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