種別 論文
主題 二軸曲げを受ける鉄筋コンクリート柱の挙動と損傷度
副題
筆頭著者 小川淳二(東北大学)
連名者1 阿部良洋(東北工業大学)
連名者2 星道夫(東北大学)
連名者3 生田真大(東北大学大学院)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 461
末尾ページ 466
年度 1990
要旨 はじめに
本研究は、実大のカンティレバー型鉄筋コンクリート造柱試験体を用いて、一定の軸方向荷重下で水平二軸の交番繰返荷重載荷による破壊実験を行い、各荷重段階で試験体の示す挙動と試験体表面に現われるコンクリートのクラック量や剥落量等損傷の程度を示すデータについて検討し、これらに基づいた損傷度指標の握案を試みる。損傷度指標は、多くの研究者から数多く提案されているが、いずれの損傷度指標も構造物が損傷を受けている時の荷重と変形のデータが使用されており、実用的には問題がある。一般の震災地では、構造物に損傷を与えた地震荷重の大きさや振幅の大きさ等は不明であり、従来型の損傷度指標では判定が不可能である。従って、荷重や変形のデータによらないコンクリートのクラック量や剥落量等を基にした損傷度の評価が可能となれば大変有意義である。従来から行なってきた一軸の交番繰返載荷による破壊実験で得られる試験体の損傷形態は、震害構造物の柱などに発生している損傷の形態とは大きく相違しており、一軸の交番繰返載荷では、震害時の損傷形態を十分には再現しえない。また、地震力で振動させられている構造物の運動の軌跡は上下動成分を度外視しても、平面的にあらゆる方向の運動を含んでおり、更に面積を持つような軌跡もある。これらの一軸載荷法の重大な欠点を解消するために、二軸載荷法を取り入れて一定の軸方向荷重下で水平二軸の静的交番繰返載荷による破壊実験を行った。その結果、実際の震害に非常に近い損傷形態を再現する事が出来た、この実験結果に基いた損傷度の評価法は、実際の地震で起こる被害の程度を評価する方法として大いに有効であろう。
むすび
限られた試験体数、限られた載荷パス・プログラム、試験体の挙動や損傷の程度に大きく影響を与えると思われる軸方向荷重の大きさ、柱主筋の定着の問題等々不十分な点も多々あるが、一応まとめると次のようになる。(1)二軸の載荷実験では、一軸の載荷実験では不可能であった、鉄筋コンクリート造構造物が地震被害を受けた場合の震害形態に非常に近い破壊形態を再現し得た。(2)二軸載荷法の方が、一軸載荷法に比して、より大きな損傷を試験体に与える。同じ二軸の載荷法でも面積を持つような載荷パスの方が、より大きな損傷を試験体に与える。(3)二軸の載荷実験から得られた等価クラック面積率や等価剥落面積率は、一軸の載荷実験から得られる結果とは大きく異なる。従って、震害建物等の損傷度評価方法を検討する場合には、二軸の載荷実験結果に基づいたデータにより検討されるべきである。(4)クラック剥落損傷度指標に従えば、次のような推測が可能であろう。(a)クラックが基礎面から柱幅高さ以内で、等価クラック面積率が1%前後の場合には、鉄筋コンクリート柱が経験した最大変位は、塑性率1以下であった。(b)等価クラック面積率が2〜2.5%であり、等価剥落面積率が10〜30%である場合には、最大変位は、塑性率3程度であった。(c)鉄筋の露出が起こり、等価剥落面積率が80〜85%である場合には、最大変位は、塑性率5程度であった。(d)帯筋がはづれ、主筋が大きく座屈し、等価剥落面積率が50%以上の場合には、最大変位は、塑性率5を越えていた。
PDFファイル名 012-01-2077.pdf


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