種別 論文
主題 鉄筋コンクリート造双肢柱の耐震性能に関する実験的研究
副題
筆頭著者 周小真(西安治金建築学院)
連名者1 佐藤稔雄(日本大学理)
連名者2 姜維山(西安治金建築学院)
連名者3 清水泰(東京工業大学附属工業高校)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 467
末尾ページ 472
年度 1990
要旨 はじめに
中国重工業工場建築物では鉄筋コンクリート造単層工場が最も広範囲に用いられている。その最も重要な部材である柱の断面形状は矩形、I型および双肢柱型の三種類に分けられる。矩形断面の柱は施工が容易であるが、大きな断面が要求されるため、使用材料が多く、柱の自重も大きくなる。中国では矩形柱の断面寸法は70cm以下とする事が決められている。I型断面柱は矩形断面柱に比較してある程度まで改良された形になっているが、治金工業の工場に対する設計ではスパンが24mm以上、50tonクレーン以上の荷重を受ける場合があり、この様な時に設計断面せいは1.6mを超えることがある。まだ、I型断面柱では、プレキャスト部材とした場合、薄いウエッブ部分にひび割れを生じやすく、運搬が難しい。さらに、使用材料も多くなる欠点がある。双肢柱は施工が複雑であるが、大きな柱断面の部材を要求される場合には有効であり、柱自重も減少し、使用材料も節約できる。従って、中国の鉄筋コンクリート設計基準の解説文では柱の設計断面せいが1.6mを超える場合には双肢柱を使用することが推奨されており、その事は鉄鋼がまだ高価な中国の現状に良く適応することが述べられている。中国にある双肢柱の形式は数種類のものがあるが、主に肢柱に繋がる梁によりラーメン形式の平腹双肢柱とトラス形式の斜腹双肢柱とに分けられる。平腹双肢柱は施工が簡単だが耐震性能は斜腹双肢柱と比べて後述のごとく多少劣る場合がある。なお、双肢柱は断面せいが大きいので適切な耐震設計を行なえば十分に安全な構造物となる。ただし、その際には極めて大きな軸力をうける双肢柱の圧縮側柱は非常に危険な状態になることもある。今まで、中国で行なわれた双肢柱の実験の水平加力は殆ど試験体に所定の軸方向力を加えた状態での逆対称正負交番の多数回繰返し静加力実験であった。しかしながら、実際には双肢柱はクレーン荷重を偏心して受けるため地震力に対する応答は正負対称ではなくなる。本論文は上記の事項を考慮して、平腹双肢柱と斜腹双肢柱の試験体を作成し、偏心軸力を考慮したオンライン応答実験を行ない、それらの耐震性能を検討した結果をまとめたものである。
結論
双肢柱を安全に設計するための基礎的な資料を得るために、4体の試験体を用いてオンライン応答実験を行ない、その耐震性能を検討した結果以下の事項が指摘出来た。(1)双肢柱は地震の方向によって両肢柱ともせん断圧縮破壊する可能性があり、かつ両肢柱の地震応答が軸力の偏心量によって異なるので、構造設計を行なう際には方向性を考慮して曲げおよびせん断破壊に対する検討を行なう必要がある。(2)双肢柱の腹梁の形式および数は、双肢柱の剛性、最大耐力、変形性能および最終破壊状況に対する影響が大きい。特に、斜腹双肢柱の耐震性能は平腹双肢柱より良い性状を示した。(3)オンライン実験では偏心軸力の影響を取り入れやすく、本実験では引張り側加力と圧縮側加力の差に関する基礎的な資料を得ることができた。(4)腹梁と肢柱との接合部に関しては、定着方法によるひび割れ発生状況の差や、接合部内帯筋の歪度等の違いが確認された。これらの値はいずれも斜腹梁の方が平腹梁に比較してより良い性状を示している。(5)骨組の弾塑性解析を行ない、実験結果と比較した結果、初期剛性や最大耐力、各肢柱の応力分担率等に関して良い一致を見た。従って、偏心軸力を受ける双肢柱の設計を行なう際には、引張り側および圧縮側の各肢柱の応力分担を考慮する必要性があることが確認された。
PDFファイル名 012-01-2078.pdf


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