種別 論文
主題 高軸カを受ける鋼管でコンクリートを拘束したX形配筋の合成柱の弾塑性性状
副題
筆頭著者 山本裕康(大阪工業大学大学院)
連名者1 投野修美(日本建設)
連名者2 南宏一(大阪工業大学)
連名者3 佐々木良一(摂南大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 713
末尾ページ 718
年度 1990
要旨 はじめに
鉄筋コンクリート短柱のぜい性的な破壊を防止するだめに、文献(1)に示されるように高圧縮力に対してコンクリートの外周を角形鋼管で被覆した拘束効果と、高せん断力に対して、せん断補強筋を必要としないX形配筋のもつ効果を組み合わせて、高圧縮力と高せん断力に対して高性能をもつ構法を考案した。そして、この構法をもつ柱は、作用軸力比がn=0.6(=N/b・D・Fc)という高軸力に対して、柱の相対変位部材角がR=5%rad.の大変形振幅においても、極めて安定した曲げ破壊による紡鍾形の履歴曲線が得られることが可能であり、最大耐力以後の耐力劣化も全くみられないことが確認され、また、角形鋼管で被覆された曲げ・せん断力を受ける柱の終局耐力はアーチ機構を形成するコンクリートの局部支圧効果による耐力増加を考慮することにおいてほぼ評価できることが示された。また、文献(2)においては、鋼管板厚を薄くし、更に短柱にしたものについて実験を行い検討した釣鐘、鋼管板厚が薄い場合でも高軸力下における大変形振幅に対しても、極めて安定した紡鍾形の履歴曲線が得られ、このときの終局耐力は、累加強度理論に基づく終局曲げ耐力から決まる耐力と、アーチ機構を形成するコンクリートの局部支圧効果による耐力増加を考慮する耐力のいずれか小さい方で、ほぼ評価できることが示された。しかしながら、これらの文献(1)、(2)で示された実験では、試験体の断面が小さく、なるべく実大に近い大きい断面の試験体のデータも必要とされ、更に、作用軸力比がn=0.6以上の高軸力とした場合にどのような性状を示すかも知る必要ができてきた。そこで、筆者は、角形鋼管でコンクリートを拘束したX形配筋の合成柱の短柱において、柱断面を大きくし、また、作用軸力比を大きくした場合について鋼管板厚を変化させたものに対して、この合成柱がどのような性状を示すかを、10体の試験体を用いて実験的な検討を行ったが、本論文は、その内容を報告するるものである。
むすび
高軸力と高せん断力を受ける鉄筋コンクリート柱に高性能をあたえる構法として、角形被覆鋼管と主筋のX形配筋を組み合わせることを提案しているが、本論文は、被覆鋼管の板厚と作用軸力比を主たる実験変数とした。既往の研究では特に鋼管の板厚の与える影響は、平行配筋の場合、鋼管の板厚が薄くなるに従って、最大耐力以後の耐力低下は急激となり剛性が維持できないが、X形配筋では、鋼管の板厚が薄い場合でも高輸力下における大変形振幅に対しても、極めて安定した紡鍾形の履歴曲線が得られることは、文献(1)、(2)にも示されている。しかしながら今回は、柱断面を□−300x300xtと大きくし、更に、作用軸力比n=1.0という高軸力も取り入れて10体の実験を行ったが、軸力比がn=1.0ともなると、鋼管の拘束力が大幅に必要とされるためか、鋼管板厚t=2.3mm、3.2mmの試験体については、予想耐力は超えているものの変形性能は劣化した。一方、鋼管板厚がt=6.0mm、9.0mmのものについては、軸方向縮みは大きいが、エネルギー消費能力の優れた紡鍾形の安定した履歴が得られた。また、このような構法の合成柱の曲げ・せん断力を受ける時の終局せん断耐力は、従来のアーチ機構に用いられる一様な圧縮場に対するモデルに、被覆鋼管による拘束効果を考慮した耐力式から求められるQu1によってほぼ評価できることが示された。
PDFファイル名 012-01-2120.pdf


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