種別 論文
主題 三軸圧縮応力下におけるコンクリートの力学的挙動に関する研究
副題
筆頭著者 辻正哲(東京理科大学)
連名者1 伊藤幸広(東京理科大学)
連名者2 今木俊弥(東京理科大学大学院)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 747
末尾ページ 752
年度 1990
要旨 はじめに
近年、多軸応力下におけるコンクリートの構成則に関する研究が、盛んに行われるようになってきた。また、コンクリートの破壊機構に関する研究も、破壊力学のコンクリートヘの適用により、近年盛んに行われるようになってきている。しかし、これらは、いずれも多軸応力下における載荷履歴、載荷速度に関するものが多く、使用材料および配合などの違いがコンクリートの変形性状に及ぼす影響を総合的に研究した例はほとんどない。一方、Morschによると、らせん鉄筋コンクリート柱において、コンクリートの強度は、コンクリートの一軸圧縮強度にらせん鉄筋による拘束力の6倍の強度が付加されるとして解析を行っている。また、昭和6年制定の土木学会のコンクリート標準示方書によると、1900年代初めの実験結果をもとに、らせん鉄筋は同量の軸方向鉄筋の3倍の効果があるとしている。この方法によると、Morschの方法によって計算した場合と同一の結果となる。その後、昭和26年度版より現在のコンクリート標準示方書に至るまで、軸方向荷重に対し、らせん鉄筋は同量の軸方向鉄筋の2.5倍の効果があるとしている。すなわち、これはらせん鉄筋による拘束力の5倍がコンクリートの軸方向強度を増すとした場合と一致する。これらの解析方法では、らせん鉄筋による拘束力がコンクリートの軸方向強度を増加させる程度は、コンクリートの品質に関わらずほぼ一定となっている。しかし、モルタルの場合には、らせん鉄筋の拘束力の2倍程度の軸方向強度しか増加していないといった報告もある。本研究は、使用材料、配合条件および拘束条件を変化させて実験を行い、終局耐力を推定するための実験結果を報告するものである。
まとめ
本実験の範囲内で明らかとなったことは、以下の(1)〜(4)の通りである。(1)スランプ、材令、空気量および養生方法は、定数kを支配する大きな要因とはならない。(2)無拘束のときの一軸圧縮強度が大きくなると、定数kが、現行のコンクリート標準示方書に採用されている値5よりも小さくなる場合が認められる。しかし、強度を要因として、一意的に定数kを定めることはできない。(3)定数kは、粗骨材の最大寸法が大きくなるとともに、直線的に大きくなる傾向にある。(4)定数kは、細骨材率の増大とともに、小さくなる傾向にある。以上のことより、現在用いられている通常のコンクリートに対して、現行のコンクリート標準示方書に準じたらせん鉄筋柱の設計方法は妥当と考えられる。しかし、粗骨材の最大寸法を20mm以下とする場合や細骨材率を極端に大きくする場合には、現行のコンクリート標準示方書によって算定したらせん鉄筋柱の圧縮耐力は、危険側となる可能性がある。たとえば、モルタルの場合には、定数kは、著者らが大型の供試体を用いて測定したときの結果と同じく、2程度となり、示方書で採用されている軸方向強度に対するらせん鉄筋の効果の40%となっている。そのため、定数kは配合条件とともに変化させるほうが妥当かと考えらる。
PDFファイル名 012-01-2126.pdf


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