種別 | 論文 |
主題 | 超流動コンクリートの基礎物性に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 新藤竹文(大成建設) |
連名者1 | 松岡康訓(大成建設) |
連名者2 | S.Tangtermsirikul (大成建設) |
連名者3 | 坂本淳(大成建設) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 1 |
先頭ページ | 179 |
末尾ページ | 184 |
年度 | 1991 |
要旨 | はじめに コンクリートは比重の異なる種々の材料を組合せた複合材料であるため、運搬・打込み・締固め等の各施工段階で分離しやすく、部材全体として均等質を確保することが難しい材料と言える。特に締固めについては、不十分であれば局部欠陥を生じ、逆に、過度の締固めは材料分離を助長することから、責任技術者の入念な品質・施工管理が要求される。これに対して、流動性が大きくかつ分離抵抗性の大きいコンクリートを用いることができれば、締固め作業を無くすことが可能であり、施工性を飛躍的に改善させるばかりでなく、人為的な技術や管理の良否に左右されることなくコンクリート構造物を均等質にできるものと期待される。このような締固めを不要とするコンクリートの基本コンセプトは、小沢らによって「ハイパフォーマンスコンクリート(HPC)」として提唱されている。著者らは、このHPCの配合を基本として、さらに、天然高分子の多糖類ポリマーを分離低減剤として使用することによって、HPCの流動性および充填性とほぼ同等の性能を有するコンクリート(以下、超流動コンクリートと称する)を開発した。超流動コンクリートのフレッシュコンクリートに要求される基本性能の中では高流動性と高材料分離抵抗性が特に重要であり、両性能を適正にバランスさせた上で極力大きくすることによって、締固めを行うことなく鋼材が複雑に配置された部分への充填が可能になると考えられる。しかし、これらの超流動コンクリートに要求される性能を定量的に評価する方法はまだ確立されていない。そこで、著者らは独自の評価試験方法を提案し、超流動コンクリートのフレッシュな状態に要求される基礎物性の定量的な評価を行った。なお、本評価試験により最適な単位水量や分離低減剤の添加量を選定することが可能である。本研究は、超流動コンクリートのフレッシュな状態における基礎物性および要求性能を定量的に評価・判定することを目的に行ったもので、最適細骨材率の選定および分離低減剤を添加した場合の効果について行った試験結果ならびに超流動コンクリートに要求される性能の適正範囲について総合的に評価した結果について言及したものである。 まとめ 本評価試験により、超流動コンクリートに要求される性能を定量的に評価することが可能であり、さらに、充填性が良好となり得る超流動コンクリートは、流動性および分離抵抗性として適正な範囲があることが確認された。本評価試験によって得られた知見は以下のとおりである。(1)充填性が良好となる細骨材率は、骨材の空隙率を最小とする細骨材率とほぼ一致し、この値は超流動コンクリートの配合を適確に選定する上での有効な指標となり得る。(2)本分離低減剤を添加することによって、高性能減水剤の添加量を僅かに増加させるだけで、添加しない場合と比較してスランプフローを6cm~8cm大きくすることができる。(3)本分離低減剤を添加することにより、添加しない場合と同等のスランプフローを得るのに必要な単位結合材料を、50kg/m3程度低減することが可能である。(4)良好な充填性を安定して得るのに必要な単位結合材量は500kg/m3程度と言える。(5)分離低減剤を通常使用量の2倍以上と過剰に添加しても、圧縮強度の低下は生じない。(6)超流動コンクリートにおいて充填高さ30cm以上となる良好な充填性を得るのに必要なスランプフローの範囲は60cm~70cmと言える。(7)超流動コンクリートのモルタルにおいて、充填高さ30cm以上となる良好な充填性を得るのに必要な分離抵抗性は、見掛けの降伏値として100g~300gの範囲であり、粘性として300g/cm/sec~700g/cm/secの範囲と言える。 |
PDFファイル名 | 013-01-1027.pdf |