種別 論文
主題 コンクリートの微細構造に関する一考察
副題
筆頭著者 村上祐治(間組)
連名者1 山下英俊 (間組)
連名者2 坂本守 (間組)
連名者3 大津政康 (熊本大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 363
末尾ページ 368
年度 1991
要旨 まえがき
コンクリート中に含まれている空隙は、コンクリートとの力学的特性、耐久性等を評価する際、重要な要素となる。例えば、コンクリートの凍害はコンクリート空隙中の水分が凍結することにより空隙に水圧が発生し、セメント硬化体を破壊するものである。また、コンクリートの乾燥収縮は空隙中の水分が蒸発することによって生しる。その破壊及び変形の程度は空隙量、分布特性が大きく影響することが分かっている。セメント硬化体の微細構造はセメントの水和反応によって水和生成物、いわゆるエトリンガイトC-S-Hなどが形成され、最終的には不連続な空隙となる。そのセメント硬化体の微細構造に対する影響要因は、外的要因として外気温、湿度、周辺媒体の物性などであり、内的要因としてセメント、水、骨材、混和材、混和剤、配合条件などである。本研究では、コンクリートの微細構造の挙動を知ることを目的として、セメントの種類、骨材、AE剤混入の有無および材令変化の要因に絞り、系統的な実験を行い、コンクリートの微細構造の特性を検討したものである。
むすび
セメントペースト、モルタル及びコンクリートの微細構造について系統的な実験を行って次の結果を得た。(1)毛細管空隙はセメントの種類、水セメント比、骨材および材令に影響され、水和反応が進行するに従って、微細径側に移行し、その空隙の挙動は単位体積当りのセメント量に依存することが分かった。(2)セメントペースト、モルタル及びコンクリートの空隙量分布に相違があり、空隙量が急増する変曲点が存在する。この変曲点は500Å付近であり、骨材径、骨材量に影響される。(3)セメントペースト、モルタル及びコンクリートの空隙は気泡と毛細管空隙の境界空隙径が104Å付近であった。(4)104Å以下の空隙量分布を対数正規分布と仮定し、各試料と比較した結果、セメントペースト及び高炉セメントを用いたコンクリートはほぼ一致したが、普通セメントを用いたコンクリートは差があった。今回の実験の範囲でセメント硬化体の微細構造に影響する要因が確認された。確率密度関数を与えてセメントペーストの空隙量分布はその関数とほぼ一致したが、モルタル、コンクリートの空隙量分布は他の要因が複雑に絡み合っており、関数化までは至らなかった。今回は、コンクリートの微細構造の生成メカニズム、そのミクロモデルを考慮にいれて実施されたものでない。今後、コンクリートの微細構造のメカニズムを考慮にいれたミクロモデルを構築し、その理論を用いてコンクリートの微細構造を定量的にかつ解析的に評価していく予定である。
PDFファイル名 013-01-1059.pdf


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