種別 論文
主題 超音波法による構造物コンクリートの品質評価に関する2、3の考察
副題
筆頭著者 尼崎省二(立命館大学)
連名者1 宮川豊章(京都大学)
連名者2 小林茂広 (中研コンサルタント)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 479
末尾ページ 484
年度 1991
要旨 はじめに
コンクリート構造物の維持管理が注目され始めるとともに、各種非破壊検査法に関する研究報告が多くなされている。コンクリートの非破壊検査法に関する研究には、従来から、比較的小規模な供試体が多く用いられているが、供試体と構造物とのコンクリートは、締固め状況、型わく、養生条件などの諸条件が異なるため、品質は必ずしも一致しないことは周知のところである。構造物コンクリートの非破壊評価にあたっては、試験装置の特性を含む検査手法が測定結果に及ぼす影響を十分に把握するとともに、構造物規模での実験により構造物コンクリートの品質分布を把握する必要があると思われる。本研究は、超音波法について、1)装置の特性が超音波パルス伝播速度(以下、伝播速度と略記)に及ぼす影響と探査可能な内部空隙寸法について検討するとともに、2)実構造物規模の供試体を用いて、コンクリートの品質分布を調べるとともに、豆板あるいは締固め不良部等の内部欠陥評価における問題点を検討したものである。
まとめ
圧電体への直流電圧の印加・放電による超音波放射方式の装置を用いた超音波法による構造物コンクリートの品質および内部欠陥評価に関する検討結果をまとめると、以下のようである。(1)伝播速度は、測定者が異なっても、一定の装置および方法で測定すれば、再現性のあるものとなるが、印加電圧が高く、放電時間が短い装置ほど、またこれらが一定の装置では、振動子の共振振動数が大きいほど、早く測定される。また飽和増幅方式による伝播時間計測装置を用いた伝播速度は、受振波形観察方式よりも遅くなる。したがって、特性の異なる装置で測定した伝播速度の直接比較およびコンクリートの品質比較は困難と思われる。(2)部材の伝播速度は上層から下層方向に増加する。増加程度はコンクリートの配合、スランプおよび締固め方法よって異なり、締固め時間が短いと、上下に大きく変動し、上・下層の速度差も小さくなる。速度分布の形状は、装置特性および測定者が異なっても、ほぼ一定であり、速度分布から内部欠陥の評価が可能である。(3)厚さ20cmの部材中の10cm角の板状空隙による伝播速度の低下は明瞭であるが、部材厚さが大きくなると、空隙による速度低下は少なくなり、厚さ60cmではほとんど低下しない。内部空隙による伝播速度低下が10%程度以上であれば、伝播速度分布からその大きさをほぼ推定できるが、骨材が接触していて完全な空隙になっていない内部豆板探査は困難と思われる。(4)一構造部材での伝播速度は正規分布となり、伝播速度がV-σ(V:平均値、σ:標準偏差)以下の部分に内部空隙が存在すると思われる。最後に、実構造物規模の供試体による検討は、土木学会コンクリート委員会コンクリート調査企画小委員会評価検討WGの一環として実施した広範な実験のうち、超音波法に関する一部を取りまとめたものである。各データの取りまとめができ次第、報告する予定である。
PDFファイル名 013-01-1080.pdf


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