種別 論文
主題 コンクリート中の鉄筋発錆に対する塗布型腐食抑制剤の効果
副題
筆頭著者 小林明夫(日本国土開発)
連名者1 牛島栄(青木建設)
連名者2 越川松宏(小野田)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
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先頭ページ 539
末尾ページ 544
年度 1991
要旨 はじめに
筆者らは、鉄筋コンクリート内部に残存する塩化物により鉄筋が腐食する場合の抑制方法として、腐食抑制剤(亜硝酸カルシウム系)をコンクリート表面に塗布してコンクリート内部の鉄筋位置まで腐食抑制剤を浸透させて、腐食を抑制する方法を試みている。既に、塩害や施工不良等で劣化したコンクリート構造物に対する腐食抑制剤の効果について検討するため、内部のCl-量を最大1.8kg/m2、鉄筋かぶりを10mmとした条件について、鉄筋の腐食抑制効果を確認している。特に内部に塩化物がある場合に、鉄筋の腐食抑制効果を十分に得るためには、鉄筋位置における内部塩化物の量と腐食抑制剤の量の比であるNO2-/Cl-モル比をある一定倍以上にする必要がある。例えば、筆者らの研究によれば、内部に塩化物が残存していてもNO2-/Cl-モル比が0.7~0.8程度あれば、鉄筋腐食は生じない。かぶりコンクリートにひびわれ等の変状が現れない程度に腐食した鉄筋にはモル比を2.0程度にすれば、以降の腐食を抑制する事ができる。更に、ひびわれを誘発するような場合の鉄筋の腐食に対しては、腐食を抑制するに必要なモル比を把握する事はできなかったが、腐食抑制剤を塗布した後、ひびわれを注入して補修すれば、その後の腐食の進行を抑制することが可能であった。しかし、塩害により劣化したコンクリート構造物中の内部塩化物量は、既往の報告によれば低濃度から高濃度まで幅広い範囲の値を示し、特に、海岸付近の構造物ではCl-換算で最大10kg/m2以上に及ぶ例もある。そこで、本報告では腐食抑制剤をコンクリート表面に塗布して、コンクリート中の内部に多量の塩化物が残存する構造物の補修を行なう場合に、必要な腐食抑制剤の塗布量及びNO2-/Cl-モル比を把握し、鉄筋腐食の抑制効果を確認するために、コンクリート中の塩化物量及び腐食抑制剤の塗布量を変化させた試験を行った。また、NO2-が存在する部位と存在しない部位がコンクリート中に混在すると、一般的に前者がカソード域、後者がアノード域となりマクロセル腐食が生じる恐れがある。そのため、マクロセル腐食についてNO2-混入と無混入モルタルの打継ぎを行なう事により検討した。
まとめ
本試験の範囲で得られた結果を以下に示す。(1)塗布型腐食抑制剤は、高濃度含有塩分(Cl-換算で10kg/m2)に対しても、鉄筋の腐食抑制効果が認められる。(2)塗布型腐食抑制剤は、鉄筋のかぶりが30mmもしくは40mmあっても鉄筋位置まで浸透して行き、鉄筋の腐食抑制をできることと考えられる。(3)鉄筋腐食の抑制に必要なNO2-/Cl-モル比はかぶりごとに異なり、かぶりが10mm、30mm及び40mmの場合に、それぞれ0.8、1.8及び7.0程度となる。(4)塗布型腐食抑制剤の混入及び無混入モルタルを打払いだ場合のマクロセル腐食は、カソード部のNO2-濃度が50~1000ppmの場合に形成される可能性があるが、それが5000ppmまで達すれば形成し難いと思われ、更に今後の検討を要する必要がある。
PDFファイル名 013-01-1090.pdf


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