種別 | 論文 |
主題 | 複合した原因による鉄筋腐食に関する実験的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 北後征雄(JR西日本コンサルタンツ) |
連名者1 | 菊地保孝(西日本旅客鉄道) |
連名者2 | 小林茂広(中研コンサルタント) |
連名者3 | 宮川豊章(京都大学) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 1 |
先頭ページ | 603 |
末尾ページ | 608 |
年度 | 1991 |
要旨 | はじめに 近年コンクリート構造物の早期劣化例が数多く報告されているが、それらの中には、単独の劣化メカニズムではなく、複合した原因によるものも存在する可能性がある。過去に実施した調査の結果の一例によれば、コンクリート構造物の中性化の進行が一般的に言われている値(=例えば「岸谷式」によって算定される値)よりも相当大きいことを示しており、その原因は水セメント比が大きいことによると考えてきた。しかしながら、中性化の進行が速い理由のひとつとして、アルカリ骨材反応によって生じた微細なひびわれが、中性化の進行を速めている可能性も考えられる。本報告は、アルカリ骨材反応が中性化の進行並びに鉄筋腐食に与える影響を供試体レベルで実験した結果について述べるものである。なお、本実験的研究は、日本材料学会「コンクリートのひびわれ補修に関する基礎的調査研究委員会(委員長:京都大学工学部藤井学)」の活動の一環としておこなったものである。 まとめ 今回の実験において得られた結果をまとめると、以下のとおりである。1)今回の実験の範囲においては、アルカリ骨材反応による膨張・ひびわれが、コンクリートの中性化を促進する要因とは考え難い。しかし、中性化促進試験開始までのコンクリートの養生条件の相違などに起因する硬化体組織の差による影響について、更に詳細な検討が必要であると考えられ、今後明確にしていく予定である。ASR促進剤としてのNaClとNaOHの効果の違いについても硬化体組織の差が大きく影響しているものと考えられ、必ずしも明確にはできなかった。2)すでに言われているように、中性化の進行は、水セメント比の大小によって大きな影響を受ける。すなわち、W/Cの大きいものは、中性化の進行が速く、鉄筋の腐食の程度も大きい。3)中性化促進試験という条件の下、今回の実験で設定したCl-換算1.5〜3.3kg/m3程度の塩分では、混入した塩分が中性化の進行を促進するということはないようである。ただし、同程度の中性化深さであっても塩分量の多少は、鉄筋の腐食そのものには大きく影響する。なお、塩分量と中性化の進行の関係については、既往の文献2)にみられる傾向とは異なるものであり、実験を含む検討を今後おこなう予定である。 |
PDFファイル名 | 013-01-1102.pdf |