種別 論文
主題 結合材の種類が細孔溶液中の各種イオン濃度に及ぼす影響
副題
筆頭著者 丸屋剛(大成建設)
連名者1 松岡康訓(大成建設)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
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先頭ページ 633
末尾ページ 638
年度 1991
要旨 まえがき
コンクリートは、気相、固相、液相から成る多相物質である。とくに、液相はセメントの水和などの化学反応が生じ、また、鉄筋の腐食因子である塩化物イオンなどがコンクリート中に侵入する経路でもある。このことから、液相つまり細孔溶液を抽出し、各種のイオン濃度を測定する手法によるセメントコンクリートの化学的研究が進められている。Barneybackらにより改良を加えられた細孔溶液の抽出方法は、円筒型のモルタルあるいはペースト供試体に高圧力を加えることで未水和水を搾り出す方法である。本手法による研究内容は、セメントコンクリートの耐久性に関するものが主であり、アルカリ骨材反応のメカニズムの解明、結合材の種類が塩分の固定に及ぼす影響に関するものが多い。本研究では上記手法と新しい評価指標により、結合材の種類がアルカリイオン濃度の減少に及ぼす影響の評価、および結合材の種類と湿潤養生期間が外部からの塩化物イオンの浸透抵抗性に及ぼす影響の評価を行った。結合材の種類として、普通ポルトランドセメントのみ、普通ポルトランドセメントとフライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフュームの各2成分系、また近年マスコンクリート構造物への使用が多い普通ポルトランドセメント、フライアッシュと高炉スラグ微粉末の3成分系を検討した。
まとめ
本研究では、細孔溶液の抽出とその化学分析という手法により、結合材の種類がアルカリイオン濃度の減少に及ぼす影響、および結合材の種類、湿潤養生期間が外部からの塩化物イオンの浸透抵抗性に及ぼす影響について評価した。前者における2成分系の結合材の評価指標には、アルカリイオン濃度の測定値を水和率により換算した補正イオン濃度、普通ポルトランドセメントのみにおける補正イオン濃度を、普通ポルトランドセメントとその他の結合材の重量比率により換算した希釈イオン濃度、さらにこれらの差の減少イオン濃度を用い、3成分系にはフライアッシュと高炉スラグ微粉末の相乗効果を考慮した相乗イオン濃度を適用する。本研究により得られた結論は以下の通りである。(1)2成分系では、フライアッシュ、シリカフュームを含む結合材のアルカリイオン濃度の減少に及ぼす影響が大きい。また、高炉スラグ微粉末を含む結合材はアルカリイオン濃度が減少しない。この理由として、アルカリイオンの高炉スラグ微粉末からの溶出、普通ポルトランドセメントからの溶出の促進が考えられる。3成分系では、2成分系でアルカリイオン濃度の減少量が小さい結合材でもそれらを組合わせることにより、フライアッシュと高炉スラグ微粉末の相乗効果でアルカリイオン濃度が減少する。(2)十分な塩分浸透抵抗性を得るためには、各結合材とも7日以上の湿潤養生が必要であり、以下に示す順に塩分浸透抵抗性が改善されることが明らかとなった。すなわち、普通ポルトランドセメントのみ、フライアッシュを含む2成分系、高炉スラグ微粉末を含む2成分系、シリカフューム10%を含む2成分系、3成分系、シリカフューム20%を含む2成分系の順である。また、フライアッシュの塩分浸透抵抗性の改善には、ポゾラン反応の進行を考慮した長期間の湿潤養生のみならず、高炉スラグ微粉末との混合が効果的であることが明らかとなった。
PDFファイル名 013-01-1108.pdf


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