種別 論文
主題 コンクリート表層部の細孔構造と塩素イオン透過性
副題
筆頭著者 鳥居和之(金沢大学)
連名者1 川村満紀(金沢大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
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先頭ページ 639
末尾ページ 644
年度 1991
要旨 まえがき
コンクリートの表層部は、セメントの水和反応が抑制されることにより組織が多孔質になるとともに乾燥・湿潤や凍結融解の繰り返しの影響によりひび割れが生じたりするので、鉄筋腐食の進行に密接に関係する塩素イオン、水分、酸素などの拡散・透過性の問題に関連して、コンクリート表層部の性質の理解とその改善策の確立が重要な課題となっている。コンクリートの表層部は、一般に表面から2〜3cm程度までとされており、この部分の性状は内部のコンクリートとは大きく相違することが報告されている。しかし、各種環境下において、実際に環境の影響を強く受けているコンクリートの表層部はどの程度の範囲までであるかについては不明であり、かぶりコンクリートの鉄筋の保護機能との関係よりこの点について明らかにする必要がある。一方、コンクリートの表層部に及ぼす環境作用の影響は、コンクリートの大きさやその形状によっても相違することを考慮すると、実際のコンクリート構造物と対応するような環境の作用を受ける表面積に対して大きな内部容積を持つコンクリート供試体を使用して環境の影響を検討することが望ましい。本研究は、各種環境条件下に約1年間放置された立方体状のコンクリート供試体より採取したコンクリートコアを使用して、塩素イオン透過性、細孔径分布、強熱減量、中性化深さの各測定およびSEMによる表面組織の観察を実施し、コンクリート表層部の性質に及ぼす配合、養生条件および環境条件の影響について検討したものである。
結論
コンクリートの表面部は、養生および環境条件の相違が敏感に反映される部分であり、早期に乾燥を受けると多孔質な組織が形成されるが、普通セメントコンクリートでは水・セメント比が小さいものほど、混和材を使用したコンクリートではシリカフュームコンクリートのように水和反応速度の速いものほど、養生および環境の影響を受けにくいことが認められた。とくに、乾燥面に対して比較的大きな内部容積をもつコンクリート供試体から得られた本実験の結果より、屋内および屋外暴露の両条件下においてセメントおよび混和材の水和反応の進行に及ぼす乾燥の影響はコンクリートの表面部に限定されており、少なくとも5cmより内部になると環境および養生の影響をほとんど受けていないことが判明した。さらに、コンクリートの塩素イオン透過性に及ぼす混和材の効果は、屋内および屋外暴露の期間が長期になるとともに顕著となり、混和材を使用することによりコンクリートの表層部および内部の塩素イオン透過性を大きく低減できることが明らかになった。
PDFファイル名 013-01-1109.pdf


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