種別 論文
主題 防食効果に及ぼすコンクリートの表面状態に関する考察
副題
筆頭著者 牛島栄(青木建設)
連名者1 酒井芳文(青木建設)
連名者2 西村健太郎(青木建設)
連名者3 谷口秀明(青木建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 645
末尾ページ 650
年度 1991
要旨 はじめに
海洋環境下において鉄筋コンクリート構造物の耐久性の向上を図る方法としては、コンクリート中の鉄筋の腐食に最も影響する塩化物イオンに対する遮塩性を高めることである。塩化物イオンの遮塩性は、かぶりコンクリートの品質によって大きく影響されるので、コンクリートの配合や養生条件を適切にし、十分な締め固めを行なって塩化物イオンの浸透しにくい密実な組織を持つコンクリートを作ることが大切である。防食方法の基本は、第1種防食方法として密実で均一なコンクリートを用いてかぶりを大きく確保することであり、第2種防食方法として、コンクリート構造物に塗装等の表面ライニングを施すこととされている。既往の研究によれば、第1種防食方法によってミクロセルあるいはより腐食速度の大きなマクロセルについても良好な防食効果が得ることができるとされている。また、表面ライニングによる腐食因子の遮蔽効果についても良好とされている。一方、コンクリート表層部に中性化層が既に形成されている場合には、塩化物イオンのコンクリート中への浸透を遅延させる作用を有しているとする研究もある。本研究では、中性化層の形成、ライニング等のコンクリートの表面状態が、コンクリート中の鉄筋の腐食に及ぼす影響について、かぶりと関連づけながら考察を行なったので報告する。
まとめ
本試験の範囲で得られた結果を以下に示す。(1)細孔径分布の測定結果から、予め促進中性化を行なうことによって、細孔直径で0.005μm以下のものが減少し、全細孔量が促進中性化を行なわないものより減少していた。(2)コンクリート中への塩化物浸透深さの測定結果から、予め中性化を行なった場合には、遮塩効果が認められ、中性化を行なっていないものの1/2程度であった。中性化10mmと20mmを比較すると20mmの方がより遮塩効果が大きかったことから、全細孔量の減少が遮塩性に大きく影響することがわかった。(3)ASTMの規準に従い、かぶりによる第1種防食効果および表面ライニングによる第2種防食効果を自然電位の測定値から健全域、不確定域、腐食域に推定することができるが、腐食面積率との明確な対応は認められなかった。(4)腐食面積率と腐食減少率の測定結果から、表面ライニングおよびかぶり厚の確保による防食効果が顕著に認められた。また、予めコンクリートを中性化した場合には、遮塩効果により非中性化域にある鉄筋に対して腐食を小さくする傾向がみられた。以上をまとめると、海洋構造物などの塩害環境下においては、コンクリート表面ライニングによる塩化物イオン等の腐食因子遮蔽効果、かぶり厚の確保による防食効果は、促進試験の範囲では顕著であった。予めコンクリート表面を中性化させて中性化層を作ると、コンクリート表面の細孔径量が減少し、特に0.1μm以上の比較的大きな細孔が減少し、細孔組織が微細かつ緻密になり、塩化物の遮蔽効果が認められる。換言すればかぶりコンクリート組織の緻密化により遮塩効果は顕著となり、適切な養生などにより水和反応を十分に行なうことが重要であることがわかる。今後は、塩化物イオンによる鉄筋腐食について中性化深さとかぶり厚の関係の点から検討する予定である。
PDFファイル名 013-01-1110.pdf


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