種別 論文
主題 塩水水質で地中環境にあるコンクリートの変質に関する研究
副題
筆頭著者 藤原靖(大成建設)
連名者1 丸屋剛(大成建設)
連名者2 大脇英司(大成建設)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
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先頭ページ 677
末尾ページ 682
年度 1991
要旨 はじめに
コンクリートの劣化事例の多くはアルカリ骨材反応および温泉水や各種排水によるもので、これらは大気中や水中でのコンクリートの変質であり、地中での変質について報告した例は少ない。さらにヨーロッパやエジプトの遺跡構造物で見られるセメント材料の存在状態や変質状況に関する研究においても、地上の構造物が主体であるため、大気中あるいは不飽和土中で変質したものに関するものが大部分である。またコンクリートの変質状態を把握する方法として、変質による水和生成相の変化について詳細に調査した研究や、表面から内部方面に連続的に変質状態について追跡した例も少ない。著者らは約60年経過したコンクリート護岸の改修工事に際して、飽和度が高く、その問隙水組成が海水に近い土中にあるコンクリート試料を採取する機会を得た。また最近鈴木らは、重液分離と分離後の浮遊物と沈殿物のX線回折分析、熱分析、化学分析を組み合せた方法を用いた変質程度の把握手法を提案している。そこで本研究では、塩水水質で地中環境にあるコンクリートについて、その物理的性質の変化のみならず、水和生成相の変化を含めた化学的性質の変化について調査し、コンクリートの変質に関する検討を行ったので報告する。なお本研究は動カ炉・核燃料開発事業団の委託研究として実施したものである。
まとめ
1)護岸は汽水域にあり地盤は軟弱な泥土等である。コンクリートが接触していた土の間隙水は中性で、海水の影響を受けた水質であり、重炭酸イオン濃度は海水よりも高いものもあった。2)圧縮強度は236kgf/m2であった。透水係数は4.2×10-8cm/secとなっており、通常のコンクリートの透水係数に比較して、10〜100倍大きな値となっていた。3)細孔量は、いずれの部位でも、接触面に近い方が内部と比較して細孔量が多くなっている。内部ほど0.01μm付近の大きさの細孔量が多くなっているが、接触面付近に近くなるにつれてこの径の細孔量が減少し、代わりに1〜10μm付近の大きさの細孔量が増加していた。4)接触面付近でコンクリート浸漬液のpHは低下し、最低で9前後となっており、内部ではいずれの試料でも11.6前後で一定となっていた。同様な傾向がCaO/lnsol.比についても見られた。5)どの部位でも接触面から内部まで、ポルトランダイトは全く生成していない。接触面付近で炭酸カルシウムが生成し、逆にフリーデル氏塩は接触面に近い部分で少なく、内部で多くなっている。中には背面上部や下部のように、炭酸カルシウムのみならずアルミナゲルの生成が見られ、フリーデル氏塩などのアルミネート相が、炭酸化により分解していると考えられた。6)C-S-Hは接触面付近で減少する傾向があるが、数10%前後で主要な生成相となっている。C-S-HのCaO/SiO2比は全体に低く、1以下となっており、特に接触面付近では著しく低下して0.5以下であり、C-S-Hも炭酸化し変質していることが明かとなった。
PDFファイル名 013-01-1116.pdf


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