種別 | 論文 |
主題 | 凍結融解作用をうける複合硬化セメントペーストの挙動 |
副題 | |
筆頭著者 | 藤井卓(函館工業高等専門学校) |
連名者1 | 藤田嘉夫(北海道大学) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 1 |
先頭ページ | 709 |
末尾ページ | 714 |
年度 | 1991 |
要旨 | まえがき 融氷剤環境下において凍結融解の繰返し作用をうけるコンクリートの抵抗性を向上する方法としては、マトリックスペーストの毛細管空隙などの全空隙量を少なくし、個々の空隙の細孔径を小さくすること、およびマトリックスペースト自体の強さを増大すること、などが考えられる。空隙を減少させて高強度を発現する材料としてMDFセメント硬化体、DSPセメント硬化体が注目されている。また、強さの向上には複合材料とすることが考えられ、従来のガラス繊維あるいは鋼繊維に替って、化学的に安定な炭素繊維を用いることが盛んになってきた。しかし、これらの複合硬化セメントペーストの融氷剤環境下における凍結融解の繰返し作用に対する抵抗性の挙動については、まだ十分に明らかにされていない。そこで本研究においては、基礎研究として水溶性ポリマー、高炉スラグ微粉末および炭素繊維をそれぞれ混入した硬化セメントペーストに、塩素系融氷剤NaCl、無塩素系融氷剤CMAの各3%溶液および真水中で凍結融解作用を与え、スケーリング量、曲げ強さ、圧縮強さ、微小硬度およびCa(OH)2量を測定し、さらに電子顕微鏡SEMによる微構造観察との関連において、複合硬化セメントペーストの融氷剤環境下での凍結融解低抗性を検討した。 まとめ 本研究の結果をまとめると以下のとおりである。(1)PVA硬化ペーストでは凍結融解サイクル後、いずれの溶液の場合においても形状だけは維持したが、構造材料としての機能は喪失した。(2)BSおよびCF硬化ペーストでは、120サイクル後においてもスケーリングおよび強さ劣化に対して十分な抵抗性を有した。(3)BS硬化ペーストでは融氷剤の化学的作用に対しても十分な抵抗性を有した。(4)いずれの複合硬化ペーストにおいても、120サイクル後の硬度は低下したが、その低下の程度は小さかった。また、表層部から内部に至る硬度分布に著しい差は見られなかった。(5)複合硬化セメントペーストでは、通常のセメントペースト(WC=55%程度)に比較してCa(OH)2の生成が少なく、凍結融解作用によるCa(OH)2溶出の絶対量も少ない。以上のことから本研究で用いた低水セメント比の複合硬化セメントペーストのうち、高炉スラグ微粉末および炭素繊維を混入した場合は、融氷剤環境下においていずれも優れた凍結融解作用に対する低抗性を示した。しかし、PVAを混入した場合は、早期に著しい劣化を示し今後への課題を残した。いずれの複合硬化セメントペーストにおいても、練り混ぜの施工性を向上できれば、コンクリートへの実用化が可能と考えられる。 |
PDFファイル名 | 013-01-1122.pdf |