種別 | 論文 |
主題 | 細孔構造の変化に着目したコンクリートの低温劣化の診断法の基礎的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 堀宗朗(東北大学) |
連名者1 | 多田浩治(東北大学大学院) |
連名者2 | 斎藤裕(東北電力) |
連名者3 | 三浦尚(東北大学) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 1 |
先頭ページ | 723 |
末尾ページ | 728 |
年度 | 1991 |
要旨 | はじめに コンクリート構造物が凍結融解の繰り返しを受ける場合、コンクリートに劣化が生じ、いわゆる凍害が引き起こされる。このような低温劣化は、内部の水分が氷に相変化する際の約9%の体積膨張によってコンクリートの組織が緩むことが原因とされている。コンクリートの微細構造を考えた場合、組織の緩みは細孔構造の変化に対応すると予想される。したがって、低温劣化の定量的な目安としては相対動弾性係数の低下が耐久性試験で用いられることから、細孔構造の変化を表現する適当な指標を見いだして、それを用いて相対動弾性係数の低下を推定することができれば、合理的な低温劣化の診断が可能になると期待できる。上記の考えに基づき、本研究では、細孔構造の変化に着目した低温劣化の診断の可能性を検討した。細孔の測定には、実際のコンクリート構造物から試料を採取する際、構造物に加わる損傷を低減することを念頭に、水銀圧入法を用いたが、低温劣化を受けたコンクリートの細孔構造を正確に測定するの測定法を検討した。ついで、種々の条件で凍結融解試験を行ってコンクリートの細孔を測定し、細孔構造の変化と低温劣化の関係を調べた。具体的には、低温劣化に伴って細孔全体の体積(総細孔容積)と細孔径毎の体積(細孔分布)が変わる可能性が考えられるため、この2つの劣化前後で変化を観察した。そして、その観察を基に、細孔構造の変化が水の相変化に伴う微小亀裂の発生に起因すると仮定して、細孔構造の変化を表わす指標を選び、それと劣化の目安である相対動弾性係数の低下との間の相関関係を調べた。コンクリートの細孔構造は、他の原因(例えば、中性化)によっても変化するが、それは主に硬化セメントペーストの化学変化に起因すると考えられる。また、それが弾性低下を引き起こすとしても、水の相変化に伴う組織の緩みによる弾性低下とは、その性質が異なると思われる。したがって、本研究では、他の劣化による細孔構造の変化は対象から除くこととした。 結論 凍結融解作用による劣化を受けたコンクリートに対し、水銀圧入法を用いた合理的な細孔構造の測定方法を検討し、特定の大きさの細孔の容積の変化が劣化によって引き起こされる細孔構造の変化を表現するのに適当な指標となる可能性を示した。これは、その指標が、低温劣化の目安である相対動弾性係数の低下と比較的高い相関関係をもつことが示されたためである。したがって、このような細孔構造の変化に着目した、低温劣化を受けるコンクリート構造物の劣化度の診断が可能であると考えられた。本研究は、文部省平成2年度科学研究費補助金、奨励研究(A)02750397、を受けて行なった。ここに記して謝意を表する。 |
PDFファイル名 | 013-01-1125.pdf |