種別 | 論文 |
主題 | 鋼繊維-セメントマトリックス界面領域の破壊靱性に影響を及ぼす2、3の要因 |
副題 | |
筆頭著者 | 五十嵐心一(金沢大学) |
連名者1 | 川村満紀(金沢大学) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 1 |
先頭ページ | 773 |
末尾ページ | 778 |
年度 | 1991 |
要旨 | まえがき 繊維補強セメント系複合材料の靱性の大部分はマトリックスのひびわれ発生後の繊維の引き抜き過程の吸収エネルギーによりもたらされる。繊維の引き抜き過程は、初めに繊維の弾性付着の破壊(脱付着)を生じ、その後、脱付着界面には摩擦力が引き抜けに抵抗しながら脱付着が進行していく。したがって摩擦力は繊維の引き抜け過程において重要な役割を果たすと考えられるが、通常の繊維引き抜き試験にて評価指標として用いられる平均付着強度においては、弾性付着と摩擦抵抗は区別できない。一方、Stang&Shahらにより提案された破壊力学手法に基づく繊維の付着特性評価法は、脱付着界面に作用する摩擦力も考慮できるように拡張され、比較的簡便に付着破壊に関する破壊靱性を求めることが可能になっている。繊維の付着特性は繊維-マトリックス界面領域の組織と密接に関連することは従来より指摘されてきたことであるが、この界面領域の組織と界面領域の破壊靱性を関連づけて検討した例は少ないようである。本研究はシリカフュームの混入、水セメント比の変化および細骨材の混入が鋼繊維-セメントマトリックス界面領域の破壊靱性に及ぼす影響を明かにすることを目的としたものであり、さらに、この破壊靱性と界面領域の微小硬度分布との関連について検討するものである。 まとめ (1)シリカフュームの混入および水セメント比の低減によって、鋼繊維-セメントマトリックス界面領域は緻密化する。しかし、シリカフュームの混入により界面領域の破壊靱性は増大しない。(2)水セメント比の低減により界面領域の破壊靱性が増大するのは、界面領域における全細孔量の減少のためと考えられる。(3)シリカフュームの混入により界面領域の破壊靱性が低下するのは、ひびわれの進展を妨げるCa(OH)2結晶粒の減少と、ポゾラン反応によって粗い径の細孔が増大することに関連すると考えられる。(4)界面領域における砂粒子の存在は界面領域の破壊靱性に影響を及ぼすが、シリカフュームを混入した場合は、砂粒子の周囲の界面付近に粗い径の細孔が形成されるために、破壊靱性の低下をもたらすと考えられる。 |
PDFファイル名 | 013-01-1134.pdf |