種別 論文
主題 コンクリートの流下速度試験による打込みやすさの一評価
副題
筆頭著者 近松竜一(大林組)
連名者1 竹田宣典(大林組)
連名者2 平田隆祥(大林組)
連名者3 十河茂幸(大林組)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 887
末尾ページ 892
年度 1991
要旨
構造材としてのコンクリートの品質は、施工の良否によって大きく左右される。このため、コンクリートの配合設計においては、力学的特性や耐久性に関する要求性能だけでなく、ワーカビリチーについても十分な配慮が必要であり、近年においては、施工性向上を目的としたコンクリートの研究も活発に行われている。コンクリートのワーカビリチーは、対象とする構造物の種類や部材形状・寸法、配筋、打設方法等の施工条件より総合的に評価される。したがって、所要となるコンクリートの流動性は、これらの諸条件の影響を考慮しなければならない。例えば、締固めのできない水中コンクリートの場合には、高流動性(セルフレベリング性)に加えてコンクリート構成材料が水中で分散しないための分離抵抗性が要求されることから、水溶性高分子を用いた極めて粘性の高いコンクリートが用いられる。超高強度化を図るために水セメント比を極端に小さくした配合では、粘性の過度の増大が逆に施工上の支障となる場合もある。また、施工の合理化の一策として提案されている締固め不要コンクリートに関しても、対象とする部材の形状や配筋状態などによって充填性が異なることは容易に推察される。ワーカビリチーの重要な因子であるコンシステンシーの評価指標には、スランプあるいはスランプフローが一般的に用いられている。しかしながら、上述したような変形度の大きいコンクリートの打込みやすさは、自重による最終的な変形の程度を表わすこれらの指標だけで十分に評価できるとはいい難い。特に、水セメント比が極端に小さい高強度コンクリートの充填性やポンプ圧送性に関しては、コンクリートの粘性を適切に評価する必要性が指摘されており、新たな評価指標を含めて現場における品質管理手法が必要となるものと考えられる。そこで、本研究では、コンシステンシーの指標としてスランプフローが用いられるような変形度の大きいコンクリート(以下、高流動コンクリートと呼称)を対象として、施工時の打込みやすさを評価するためのコンクリートの特性要因について整理するとともに、それらを定量的に示す試験方法について実験的検討を行った。
結論
本研究において得られた知見を以下に示す。1)コンクリートの打込みやすさは、変形ポテンシャルと変形速度からなる均一な状態としての流動性と流動に伴う材料分離に対する抵抗性を併せて評価する必要がある。2)流動に伴うコンクリートの骨材分離に対する抵抗性は、変形ポテンシャルの程度によって大きく左右され、変形ポテンシャルが大きくなるほど材料分離が生じやすくなる傾向にある。3)コンクリートの流下試験によれば、水結合材比やSCA添加の有無などの配合要因によって左右される変形速度の相違を定量的に表すことができる。特に、θロートを用いれば、比較的少量(10l程度)の試料でも変形速度を精度良く求められることから、一般に用いられているスランプ試験と同様に極めて簡便かつ有用なコンシステンシー試験方法といえる。
PDFファイル名 013-01-1154.pdf


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