種別 | 論文 |
主題 | FEM解析による鉄筋コンクリート耐震壁のせん断耐力に関する検討 |
副題 | |
筆頭著者 | 植松卓二(明治大学大学院) |
連名者1 | 高木仁之(明治大学) |
連名者2 | 狩野芳一(明治大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 2 |
先頭ページ | 553 |
末尾ページ | 558 |
年度 | 1991 |
要旨 | はじめに 現在提案されている耐震壁のせん断耐力算定式は、耐震壁の形状の影響を荒川式のようにせん断スパン比により考慮しているものと、日本建築学会の終局強度型耐震設計指針(以下、指針式)のように耐震壁高さと柱スパンの比(幅高さ比)により考慮しているものに大別できる。これらの式の裏付けとなる実験は、従来、大部分が片持ち形加力によって行われており、パラメータとしてせん断スパン比と幅高さ比のいずれが真に重要であるかは現在必ずしも明らかではない。そこで、本研究では、頂部に集中水平力を加える場合を対象として、せん断破壊を生じる(柱主筋の降伏をともなわない)普通強度RC耐震壁のせん断耐力に、曲げモーメント分布形(せん断スパン比)と壁の形状(幅高さ比)がどのように影響を及ぼしているのかをFEM数値実験により検討をするものである。なお、本論の解析使用プログラムは文献1)において解析精度の検証を行っており十分な精度が得られている。 まとめ FEM数値実験により、頂部水平力を受ける耐震壁の形状と曲げモーメント分布形がせん断耐力に与える影響について検討を行った。以下に得られた結果を記す。1)形状、軸力の値、壁筋比が同一で、曲げモーメント分布形(せん断スパン比)が異なる場合、せん断スパン比の影響は少なく、最も耐力差を生じたもので約10%であった。2)形状、軸力の値、壁筋比が同一で、曲げモーメント分布(せん断スパン)が異なる場合、耐震壁内の力の流れ(コンクリート圧縮ブレース)は、多少の違いはみられるものの概ね同じ傾向であった。3)軸力の値、壁筋比、せん断スパンが同一で、形状(壁高さ)が異なる場合、耐力差は著しく、本数値例では約50%に達した。4)軸力の値、壁筋比、せん断スパンが同一で、形状(壁高さ)が異なる場合、耐震壁内の力の流れ(コンクリート圧縮ブレース)は、明かに異なっていた。5)今回のFEM数値実験では、頂部水平力を受ける耐震壁の耐力は、曲げモーメント分布形(せん断スパン比)の影響よりも、形状(壁高さ)の影響が支配的であると結論できる。広沢式では、耐震壁の耐力をせん断スパン比をパラメータとしており、問題があると考えられる。6)指針式は、耐震壁の耐力を形状(幅高さ比)をパラメータとして考慮している。今回のFEM数値実験では曲げモーメント分布形(せん断スパン)よりも、形状の影響が大きかったこと、コンクリート圧縮ブレースの形状から、指針式のように耐震壁の耐力を、幅高さにより考慮することは妥当であると考えられる。 |
PDFファイル名 | 013-01-2092.pdf |