種別 論文
主題 構面の水平抵抗性状に関する実験的研究
副題
筆頭著者 嶋津孝之(広島大学)
連名者1 荒木秀夫(広島大学)
連名者2 大田和彦(広島大学)
連名者3 小倉賢人(広島大学大学院)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 623
末尾ページ 628
年度 1991
要旨 はじめに
一つの構面内で、地震水平力によるせん断力と全体曲げモーメントとを2つの要素で分離分担させる構造形式を考案し、それの耐震性に大きな影響を与えると考えられる全体曲げ分担の両側柱に関する抵抗性能を検討した結果を文献で報告した。本研究は部分実験ではなく、構面全体を対象としたものである。構面としては本構造形式の出発点となった設計案に基づいている。1/4縮尺の試験体1体のみの実験結果ではあるが、それに基づいて建物設計案の1次及び2次設計レベルでの構面の耐震性を論ずると共に文献の側柱実験との関連を述べる。
結び及び今後の研究課題
実構面の1/4縮尺の構面試験体を作成し、それについて水平加力実験を行った。構面についての第1段階実験であるが、その結果、次のことが明らかになった。1)実構造物の1次設計レベルでの構面の水平変形角(頂部水平変位を構面全高で除した値)は1/800程度でその時点ではいずれの箇所にもひび割れは発見されなかった。2)構造特性係数Ds値を0.4とした2次設計レベルでの水平変形角1/200程度であった。この時点では各層側柱及び2階、3階梁と1階中央にはかなりのひび割れが発生していた。またこの時の残留変形は1/800程度である。3)その後荷重はさらに上昇したが、変形角1/70の最下層中央柱に顕著なせん断ひび割れが発生しで荷重は著しく低下した。この時点での水平耐力は全体降伏機構を考えた終局耐力計算値にほぼ等しかった。この全体降伏機構を期待して、もともと中央柱には十分なせん断耐力を計算上は与えていたのであるが、耐力評価の難しい部材の曲げ降伏後のせん断破壊が生じた。4)最下層中央柱せん断破壊以前おいては構面における側柱の挙動は側柱単独の実験による挙動とある程度、対応していた。構面の側柱が経験した圧縮レベルは単独実験で到達していたレベルよりかなり低く、一方、引張力レベルは降伏レベルに達していた。中央柱のせん断破壊以前においては側柱はこのような全体曲げを分担しているが、中央柱の破壊後はいわゆるラーメン変形を起こすようになり、構面の耐力も著しく低下する。5)以上の構面に関する第1段階実験により、この度の設計案はある確度の耐震性を有しているとはいえ、大地震時の安全性に関しては十分なものとは言えない。建物の使用目的を考えると大地震時においても落階など決して起こらぬように十分な安全性を与える必要がある。このことより、今後、中央柱の変形能力確保のための実験並びにその場合の構面の耐震性を確認する実験が必要である。
PDFファイル名 013-01-2104.pdf


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