種別 | 論文 |
主題 | プレストレスを導入したワッフル型の合成RCスラブの実験的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 手塚武仁(清水建設) |
連名者1 | 高田博尾(清水建設) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 2 |
先頭ページ | 713 |
末尾ページ | 718 |
年度 | 1991 |
要旨 | まえがき 通常、床スラブは鉄筋コンクリート(以下、RCと呼ぶ)造であり、床スラブの剛性が不足すると振動障害やひびわれ障害が問題となる。また、建築空間としてはシステムやレイアウトの変更にフレキシブルに対応できることを要求され、床スラブの大スパン化が多くなってきている。その結果、床スラブは漸次厚くなる傾向にあり、断面増加に伴う設計荷重の増加などに結び付き、自重によるひびわれの発生など構造設計上不利となってきている。ワッフルスラブは、板と曲げ及び捩り抵抗の大きいリブを組み合わせ、荷重を二方向に伝達するとともに、引張強度が小さいので荷重を負担できない部材下部のコンクリートを除去し、自重を減少できるなどの構造的な特徴を持っている。一方、大スパン空間の実現や、RC造のひびわれやたわみに配慮した高付加価値のスラブの実現に、アンボンド工法によりプレストレスを導入した床スラブ工法が、施工の容易さとRC並みのロストなどを背景に採用されできている。写真−1に示すプレストレスを導入したワッフル型の合成RCスラブ(以下、HW合成スラブと呼ぶ)は、ワッフルスラブのリブの部分にプレストレスを導入したハーフPC部材を架設後に、床部分のコンクリートを後打ちして構築するスラブであり、次のような特徴を持っている。1)プレストレスの導入度により、床スラブのひびわれとたわみの制御ができる。2)ワックル型の床スラブなのでPC鋼材のライズを大きくとれ、キャンセル力を有効に使える。3)ハーフPC部材とすることにより、型枠を兼用するとともに支保工を必要とせず、省力化と省仮設化など躯体工事の合理化が図られる。4)接合部は、現場打ちコンクリートとすることによりPC部材に生じやすい遮音問題に対処できる。本研究では、HW合成スラブについて、アンボンド工法によるプレストレスの導入が床スラブのひびわれやたわみに及ぼす影響と、適性なプレストレス導入度などの設計時の構造特性の把握を目的として曲げ・せん断加力実験を行った。 まとめ 曲げ・せん断加力実験の結果、HW合成スラブに関する設計時の構造特性として次のような事項が明らかとなった。1)プレストレスの減退は、導入後1〜2日が大きく、10日程度で収束傾向を示す。プレストレス有効率は0.91〜0.97を示したが、長期のプレストレス有効率については今後の課題としたい。2)プレストレスの利用により、軽量化するとともに大スパン化した床スラブの粘性減衰は小さくなる。スラブ厚スパン比が小さくなると、スラブ周辺のはりの拘束により生じる構造減衰も小さくなるので、衝撃力に対する振動評価を充分に検討する必要がある(図-3参照)。3)床スラブの下部に曲げひびわれが発生するまでは初期弾性剛性を維持し、曲げひびわれの発生時点で除荷すると残留たわみは0.3mm程度となる。曲げひびわれ発生後の剛性については、リブの部分の補強鉄筋の応力状態が大きく影響する(図-4参照)。4)アンボンドPC鋼材の付着力が小さいので、リブの部分の補強鉄筋が降伏すると曲げひびわれ幅が急速に大きくなる(図-6参照)。曲げひびわれ幅が0.1mmを超えるとひびわれ幅の発達傾向に至る事から、床スラブの水平性を保つ制限ひびわれ幅は0.1mm程度である(図-8参照)。5)リブの補強鉄筋が降伏する時のPC鋼材の応力に打ち継ぎ面のすべり拘束が大きく影響する。 |
PDFファイル名 | 013-01-2120.pdf |