種別 論文
主題 鋼管と帯筋で二重に横補強したRC短柱の弾塑性性状に関する研究
副題
筆頭著者 山川哲雄(琉球大学)
連名者1 山田義智(琉球大学)
連名者2 崎野健治(九州大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
2
先頭ページ 957
末尾ページ 962
年度 1991
要旨
構造部材として耐震的に望ましい部材は以下の条件を満足する部材である。1)耐力が大きい(ひずみができるだけ小さいレベルで)2)ねばりがある(じん性が大きい)3)エネルギー吸収量が多い4)剛性が大きい 上記の4条件を満足させる部材が耐震的に理想的な部材であるが、そのようなRC部材を設計するためにはせん断破壊(付着割裂破壊も含む)を防止し、曲げ破壊を先行させることがまず必要である。そのために、現行の鉄筋コンクリート構造設計法では主筋量を可能な限り少なくし、かつせん断スパン比をできるだけ大きくして曲げ強度にともなうせん断力をできるだけ小さくおさえた消極的な設計法を採用している。したがって、冒頭にかがげた4条件のうち、2)を除いて1)、4)がいづれも小さくなる。また、3)も変形が大きく増大しない限り期待できない。そこで、鉄筋コンクリート柱の積極的な設計法としてコンファインドンクリノートの強度とじん性に注目し、しかも曲げ破壊先行のもとで曲げ強度、じん性、エネルギー吸収能などの大幅な改善を意図して、福井・崎野らによってRC短柱の鋼管横補強法が提案された。この鋼管横補強法は帯筋にかわって鋼管を横補強材として用いるので、鋼管、主筋及がコンクリートからなる一種の合成構造であり、従来の帯筋による横補強法ではせん断破壊を防ぐことが困難とされていたRC短柱やRC耐震壁の周辺柱端部の補強法として有効であることが実験的に実証されている。特に円形断面の場合は極端に主筋量が多くなってもきわめて有効であることがすでに報告されている。正方形断面でも主筋量が極端に多くない限り有効であるが、主筋がきわめて多くなってくると、または鋼管の板厚が薄くなってくると付着強度の不足が生じ、上記の2)や3)の条件に大きな期待がもてなくなることが報告されている。これは正方形鋼管壁の板としての面外曲げ剛性が不足するからである。この面外曲げ剛性の不足を補うために福井らによって折板鋼管横補強法が提案された。本研究ではこの折板鋼管横補強法に対応する、より簡単な補強法として通常の正方形鋼管と直線型帯筋を併用した二重横補強法を提案する。本研究の目的は次の3点に集約される。1)RC短柱を正方形鋼管と直線型帯筋の併用により二重に横補強すれば多量の主筋を配筋しても、正方形鋼管のみで横補強したRC短柱よりもその弾塑性性状が改善され、しかも冒頭に掲げた条件を満足するような理想的な部材により近づくことができるかどうかを検討する。2)正方形鋼管と直線型帯筋で二重に横補強されたRC短柱断面の四隅はその拘束効果が一辺の中間部より大きい。このことに注目するとともに、主筋の曲げ強度に関する断面効率をできるだけ高めるために、太径の鉄筋を四隅にしかも多量に配筋する。このような配筋が可能かどうかを実験的に検討する。3)正方形鋼管と直線型帯筋で二重に横補強することにより得られたコンファインドコンクリートの力学特性を、従来のプレーンコンクリートのそれと対比しながら理論的に検討する。これらの検討結果をふまえRC短柱の理論解析を行い、本実験結果などと比較検討する。
結論
本実験は過補強と考えられるほどの鋼管と帯筋で二重横補強したRC短柱に、多量の太径の主筋(D22)を配筋した極限状態の実験に相当する。その結果、次の結論が得られた。1)正方形鋼管と直線型帯筋で二重に横補強したRC短柱の中心圧縮強度及び曲げ強度は、正方形鋼管のみで横補強したRC短柱のそれよりも大きく、二重横補強の拘束効果は実験的にも理論的にも確認された。そのほか、じん性やエネルギー吸収能に関しても、さらに若干の改善が実験的にみられた。2)実験に際して断面の四隅とはいえ、試験体の断面サイズのわりにはきわめて大きい太径の鉄筋を主筋として配筋したので、付着強度の劣化が避けられず、曲げ応力が主筋の降伏点強度まで達していない。その結果、実験結果が理論的に求められた曲げ強度を下まわっている。3)コンファインドコンクリートを用いたRC断面の曲げ強度はプレーンコンクリートと異なりその拘束効果が大きければ大きいほど圧縮縁コンクリートのひずみが0.3%を越え、約2%になって最大に達している。
PDFファイル名 013-01-2163.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る