種別 | 報告 |
主題 | 水和熱制御混和剤を添加したフライアッシュコンクリートの基礎物性 |
副題 | |
筆頭著者 | 小堺規行(住友セメント) |
連名者1 | 内田清彦(住友セメント) |
連名者2 | 井ノ川尚(住友セメント) |
連名者3 | 小堺規行(住友セメント) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 1 |
先頭ページ | 77 |
末尾ページ | 82 |
年度 | 1991 |
要旨 | はじめに セメントの水和発熱速度を大幅に低減し得ることを特長とした水和熱制御混和剤は、マスコンクリートの温度応力ひび割れに有効な対策の一つとして期待されている。既往の研究では、普通ポルトランドセメントを用いた最小断面寸法1mのマスコンクリートブロックにこれを適用した場合の発熱速度は無添加の1/2~1/3となり、中心最高温度は5~9℃低下することが確認されている。本研究では、既往の研究よりもさらに寸法の大きい部材が多い原子力発電施設を構築するフライアッシュコンクリートにこの水和熱制御混和剤を適用し、温度応力の低減に対する有効性を評価することを目的としたものである。本報ではこの水和熱制御混和剤の有効性評価の第一段階として、施工時期を考慮した種々の練り上がり温度と初期養生温度におけるフレッシュならびに硬化コンクリートの性状、および断熱温度上昇試験における熱的特性に対して与える影響を検討した。 まとめ 原子力発電施設を構築するフライアッシュコンクリートの基礎物性ならびに熱的特性に水和熱制御混和剤(TF)が及ぼす影響をまとめると以下のようである。(1)スランプおよび空気量に及ぼす影響TFは減水性を有している。本研究で試料としたコンクリートは、スランプ12cmのベースコンクリートを18cmまで流動化させたものであるが、ナフタレンスルホン酸塩系の流動化剤を殆ど用いずとも所定のスランプまで流動化させることが可能であった。またTFには空気連行性が無く、添加、無添加の違いによるAE剤の使用量に増減は無かった。(2)凝結およびブリージングに及ぼす影響TFの抑制成分はコンクリートのアルカリ性と温度(または温度上昇)によって分解・放出され、水和を抑制する。従って、添加量が多い場合はアルカリ性による分解・放出量が多く、また練り上がり温度が高い場合は温度による分解・放出童が多くなり、凝結とブリージングに影響を与える。(3)強度に及ぼす影響TFの添加により5℃、20℃、30℃いずれの練り上がりおよび養生温度でも長期強度が増進し、無添加の約110~120%に到達する。特に30℃における長期強度の伸びが著しい。これは暑中においても水和が徐々に進行するため、形成される水和組織が緻密になることに起因する。(4)耐久牲に及ぼす影響耐久性評価のため長さ変化および凍結融解試験を行った結果では、TFを添加した場合でも無添加と同様で品質低下は認められない。(5)熱的特性に及ぼす影響TFの添加量増加につれて発熱速度は低下するが、その度合は練り上がり温度30℃において最も著しく、回帰式で与えられた発熱速度に関するαの値は30℃において1.0%添加した場合無添加の15分の1にまで減少した。これはTFが水和熱制御混和剤として有効に機能するには温度の高いコンクリート程有利であることを意味している。 |
PDFファイル名 | 013-02-1010.pdf |