種別 | 委員会報告 |
主題 | プレストレストコンクリートの利用性追求研究委員会報告 |
副題 | |
筆頭著者 | 六車熙(京都大学) |
連名者1 | |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 13 |
号 | 2 |
先頭ページ | 19 |
末尾ページ | 24 |
年度 | 1991 |
要旨 | 委員会の設立目的 プレストレストコンクリート(以下PCと略記)は、部材内部に配置されたPC鋼材の張力(部材導入軸力)により、コンクリートが引張応力に殆ど抵抗出来ない弱点を補うと同時に、PC鋼材の傾斜配置により直接外力に抵抗する優れた構造システムである。すなわち、通常の鉄筋コンクリート(以下RCと略記)では実現出来ない大スパン構造やコンクリートに元圧縮力を導入することによる使用状態に於けるひび割れ発生の抑制などを可能とし、鉄筋コンクリート構造の一分野としてその利用範囲を大きく拡大し得るものと考えられる。しかし、一方では鉄筋コンクリート構造とは異なった特殊な工法との見方をされる場合があり、その優れた構造システムが十分に利用されていない現状もある。その理由は、PC構造そのものに問題点があるわけではなく、PC構造に対するなじみが薄く実際に使用したことのない設計者が多い為で、PC技術を身に付けた技術者および研究者による技術啓蒙的な行動が必要と考えられる。また、最近では従来のコンクリート断面に圧縮力を導入し引っ張りに弱いコンクリートの性質を補うといったPCの本来的な使い方に加えて、PC鋼材を構造物のなかでの引っ張り部材として利用(斜張橋、アウトケーブルによる桁およびスラブの補強など)したり、鉄骨構造および鉄骨鉄筋コンクリート構造への適用など幅広い利用形態が実施されている。この様な状況の中で、「プレストレストコンクリートの利用性追及研究委員会」の設立が提案され、JCI研究委員会およびJCI理事会により承認された。本研究委員会の目的は、PC構造に関する研究現状の把握と問題点の抽出、実構造物へのPC技術応用の現況と設計に於ける問題点の抽出などを通して、土木・建築の両分野におけるPCのより広い範囲にわたっての利用性を追求することにある。従って、新たな特定の研究テーマに関して研究を実施するのではなく、研究・技術現状を的確に把握しそこからPC構造の研究・技術に関する将来展望と問題点を明らかにするといった作業を行なった。本委員会の活動の成果は、委員会中間報告のJCI誌掲載、PCの技術現況に関する委員会報告書および本委員会が実施するシンポジュームを通して土木・建築両分野の研究者および技術者に広く公表し、実際の構造設計および研究推進に役立てて頂くとともに、諸外国にも成果をアナウンスし日本の研究現況を国際的に流布することを考えている。また、1993年にはFIPシンポジュームがはじめて日本(京都国際会議場を予定)で開催されることになっており、本委員会の成果が反映されるであろうと期待しております。 あとがき 本プレストレストコンクリートの利用性追及研究委員会は、現在のPC技術の最先端研究・技術情報をとりまとめ、PC構造の普及とさらなる発展を目指し設置された。この目的のために、土木・建築両分野から協力頂いた各委員には、大変な作業が課され御迷惑をおかけしたと思います。しかし、PCの発展を願う技術者・研究者の熱意が、JCIという土木・建築両分野を含む組織のなかで一つに集約されたことの意義は極めて大きく今後のPC技術発展に対する基盤がかたちづくられたと理解してご了解頂きたいと思います。今後は、本委員会の成果をあしがかりとし、土木・建築両分野の協力のもとで基礎的・開発的研究を推進し、PC技術の普及をさせていく必要性を痛感いたしております。そのためにも、PC構造に携わる研究者・技術者のさらなる努力を期待するものであり、本委員会の成果が少しでもお役に立てば、本委員会および委員の目的は達せられたものと考えています。最後になりましたが、本委員会の運営にあたっては、JCI事務局各位および同事務局研究委員会担当の磯崎ひろ子氏のご尽力が不可欠であったことを申し述べ委員会委員一同の感謝とかえさせていただきます。 |
PDFファイル名 | 013-03-0004.pdf |