種別 論文
主題 スクイズ式ポンプのチューブ内を流動するコンクリートの可視化に関する基礎的研究
副題
筆頭著者 橋本親典(群馬大学)
連名者1 平井秀幸(群馬大学大学院)
連名者2 柱征宏(大林組)
連名者3 辻幸和(群馬大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 113
末尾ページ 118
年度 1992
要旨 はじめに
現在、コンクリートポンプ工法は建設工事の規模の大型化に伴い、省力化、工期の短縮、経済性の点から多大な評価を受け、建築・土木の分野を問わず広く普及している。建設現場で用いられているコンクリートポンプは、大きく分けてピストン式ポンプとスクイズ式ポンプの2種類がある。スクイズ式ポンプは、構造上の便利さから小規模工事に適し、都市の狭い施工現場を中心に採用される。特に、最大吐出量が10〜60 m3/h程度の小容量ポンプは、スクイズ式ポンプが主流である。スクイズ式ポンプの長所としては、ピストン式ポンプに比べ連続圧送性に優れている点である。短所としては、硬練りコンクリートを圧送する場合に、ピストン式ポンプと比較して吸込み効率が劣る点である。従来、これらのコンクリートポンプの開発・設計は、圧送現場での経験に基づいて試行錯誤的に修正・改良してきたものが多い。ポンプの設計を行う点で最も重要となるポンプ内部でのフレッシュコンクリートの流動性状は、ブラックボックスであり設計技術者の推測の域を脱し得なかった。これは、コンクリートが水や油のような一相系の流体でなく、セメントペースト、砂や砂利が混ぜられた固液2相系の粉粒体で、管内やチューブ内部を直接観察することが不可能であり、管内圧力や圧送前後のコンクリートの品質変化でしか流動性状を判断できなかった為である。著者らは、ポンプ圧送時の管内流動に関する実験手法として、フレッシュコンクリートの可視化モデルを使ったシミレーション実験を開発してきた。この可視化実験手法は、フレッシュコンクリートをモルタル相と粗骨材粒子群から成る固液2相系流体と仮定し、流動性状を外部から直接可視化することが可能な別の材料に置換し、従来明らかにされていなかったコンクリート内部の力学的挙動を画像データとして取り扱う方法である。これまでにこの実験手法を用いて、ピストン式滑り弁型ポンプ内のコンクリートの流動について研究してきた。本研究では、スクイズ式コンクリートポンプ内部のコンクリートの流動性状に着目し、ゴム製ポンピングチューブ内を流れるフレッシュコンクリートの可視化に関する基礎的研究として、モデルモルタルのみの流動状況の可視化を試みる。可視化実験から得られた画像データから、ローラーの位置によるモデルモルタルの速度ベクトル分布を定量化し、ローラーがポンピングチューブ(以後、チューブと称する)を潰すときにシール面に発生すると想像されている“逆戻り”現象の存在を確認し、チューブ内の可視化モルタルの流動性状に及ぼすローラー径、ローラーとチューブ間の潰し量、チューブの曲げ角度の影響について検討する。
結論
スクイズ式ポンプのポンピングチューブ内を流れる可視化モデルモルタルに関する画像データを収録し、これに基づいて、吐出側および吸入側におけるチューブ内のコンクリートの流動性状について検討した。本実験内において、次のことがいえる。1)ローラーとチューブ間に形成される未完全なシール面付近に発生する“逆戻り”現象は吐出側の上流に存在し、吸入側では発生しない。2)ローラー径を大きくすることは、圧送効率の向上ならびに“逆戻り”現象の抑制に対しても有効である。3)ポンピングチューブの曲げ角度とローラーとポンピングチューブ間の潰し量に関する設計パラメータについては、圧送効率の向上と“逆戻り”現象の抑制に対する効果が相反する関係にある。
PDFファイル名 014-01-1016.pdf


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