種別 | 論文 |
主題 | アルカリ骨材反応に及ぼす電流場の影響に関する基礎的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 西林新蔵(烏取大学) |
連名者1 | 林昭富(鳥取大学) |
連名者2 | 王鉄成(鳥取大学) |
連名者3 | 鎌田隆志(大阪府庁) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 1 |
先頭ページ | 201 |
末尾ページ | 206 |
年度 | 1992 |
要旨 | まえがき 鉄筋コンクリート構造物は、経済的に設計、施工、さらには維持管理が行われるため、陸上構造物や海洋構造物として広く用いられてきているが、主として外部から侵入する水分や塩化物の作用によって、鋼材の腐食が原因となる損傷を受けやすい構造物でもある。陰極防食法は、通常の鉄筋コンクリート構造物ではその効果が認められ、世界各地で実用に供されているが、コンクリートに用いられた骨材がアルカリ骨材反応性であった場合には、アルカリ骨材反応を助長しかねない。それは電気化学的な影響が現われるためで、通電によってアルカリイオン(K+、Na+、Ca2+)の濃縮が生じ、通常ではアルカリ骨材反応が発生し得ない条件下であっても反応が生じたり、あるいはすでにアルカリ骨材反応が生じている構造物ではさらに反応が促進されて、構造物に損傷を与える可能性がある。また、現実には鋼材腐食は隣接した電気設備(変電所、電気鉄道、電解化学工場など)からの迷走電流に起因することも多い。この直流の迷走電流によってコンクリート中に埋め込まれた鉄筋に電池が形成され、局部的な属食が生じる。また電食以外にも通気差電池、異種金属接触電池、コンクリート貫通部と土壌中の電位差などによって自然腐食が発生する。このような腐食電池を無くすために陰極防食を適用した場合、鉄筋の腐食は防止されるが、先述したようなアルカリ骨材反応の助長という問題が生じてくる可能性がある。本研究は、鉄筋コンクリート構造物における陰極防食の最適条件を確立せんとする一連の研究計画の段階において問題となった、コンクリートヘの通電がアルカリ骨材反応の膨張挙動に及ぼす影響について実験的に検討するとともに、この検討結果をコンクリートのアルカリ骨材反応試験法への応用の可否についても検討せんとするものである。 まとめ 1)鉄筋を配置したコンクリート供試体に通電すると、アルカリイオンが移動して濃縮されるので、反応性骨材を使用したコンクリートではアルカリ骨材反応が促進されるが、この現象がそのまま全て膨張量に関与するとは限らない。2)最も大きい膨張率を示す電流密度、つまり電流密度のペシマムが存在するが、実験要因の違いによって、このペシマム値は変化すると思われる。3)通電するとアルカリイオンが濃縮されるので、アルカリ量が小さいものでも長期材令で膨張を起こす可能性がある。4)陰極防食、つまりコンクリートヘの通電がアルカリ骨材反応に及ぼす影響については、分極量やひびわれと膨張率との関係、電気抵抗値や電圧との関係など、多方面からの検討が必要である。 |
PDFファイル名 | 014-01-1031.pdf |