種別 | 論文 |
主題 | 暑中コンクリートおよび高強度コンクリートにおける積算温度方式の適用に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 西田朗(清水建設) |
連名者1 | 岡田武二(清水建設) |
連名者2 | 桑原隆司(清水建設) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 1 |
先頭ページ | 511 |
末尾ページ | 516 |
年度 | 1992 |
要旨 | はじめに 構造体コンクリートの強度発現を捉えることは、コンクリート工事の品質管理、工程管理上重要な事項であり、あらかじめ構造体の強度を予測することができれば、合理的な計画や管理を行うことができる。現状では、実施工前に構造体コンクリートの強度発現を予測するには、過去の実績や試し練りによる供試体レベルの強度データから類推することになり、精度上問題がある。コンクリートの強度発現をあらかじめ求め、これを調合設計や強度予測に用いる方法としては、寒中コンクリート工事における積算温度方式がある。これまで、積算温度方式はその適用範囲が限定され、高温環境における施工や高温の温度履歴を受ける構造体コンクリートの場合には適用できないとされてきた。しかしながら、近年、高温域の養生温度まで含めた積算温度を利用した強度増進曲線の提案がなされている。本研究は、こうした現状を踏まえ、近年使用頻度が増加してきた高強度コンクリートと寒中コンクリートと対照的な温度条件の暑中コンクリートにも積算温度方式を適用することを目的として、それらのコンクリートを想定したシミュレーション実験を行い、実験結果と既往の強度増進曲線から得られた予測値とを比較検討したものである。 まとめ 従来は、主に寒中コンクリートを対象としてきた積算温度方式を、暑中コンクリートや高強度コンクリートにも適用することを目的として、構造体コンクリートの強度発現を把握する実験を行った。同時に、温度解析および強度予測を行い、実験結果との対応について検討を行った。本研究の範囲で得られた結果をまとめると以下のようになる。1)壁状部材を想定した試験体の温度上昇は、暑中コンクリートの場合、部材厚150mmで15℃前後、800mmで25〜30℃となった。また、高強度コンクリートでは150mmで15〜25℃、800mmで40〜50℃であった。これらの実測値に対し温度解析で得た上昇量は若干ずれが生じたが、実測値から算出した積算温度と解析値から求めた積算温度は相関係数が0.9988となった。2)暑中コンクリートを想定した場合の強度発現は、初期の材令においては部材温度履歴を与えた供試体および高温環境にある現場養生の供試体で大きなものとなった。また、高強度コンクリートにおける強度発現は、暑中コンクリートの場合と同様に温度履歴を受けた供試体で初期の強度が大きなものとなった。なお、本実験の範囲では部材温度履歴を与えた供試体の強度は、封かん養生を行った場合に、コア強度により近い値を示した。3)積算温度方式による強度増進曲線は、暑中コンクリート、高強度コンクリートの場合とも、全体的な傾向として温度履歴を与えた供試体の強度発現を良く表している。今後はさらに、部材の温度解析方法の改良や強度増進曲線の精度の向上により、暑中コンクリートや高強度コンクリートにおいても積算温度方式を適用することが十分可能になるものと判断される。なお、今後は実施工する暑中コンクリートや高強度コンクリートにおける積算温度方式の適用上の問題点を明らかにし、さらに本方式を用いた品質管理方法の提案を行っていく予定である。 |
PDFファイル名 | 014-01-1085.pdf |