種別 論文
主題 コンクリートの大型供試体直接引張試験装置に関する研究
副題
筆頭著者 佐藤正俊(中部電力)
連名者1 上田稔(中部電力)
連名者2 遠藤孝夫(電力中央研究所)
連名者3 長谷部宣男(名古屋工業大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 549
末尾ページ 554
年度 1992
要旨 まえがき
コンクリートの破壊力学やマスコンクリートの温度応力の問題などにおいては、コンクリートの引張特性の解明が重要なテーマであり、そのために種々の引張試験法が用いられている。その試験法の中で直接引張試験は一軸応力状態の試験として、理想的であるが大変難しい試験とされている。本研究はこの直接引張試験をできるだけ適正に行うための試験方法について若干の考察を行うとともに、特に供試体寸法や骨材の大きさ、試験方法の影響等の引張特性の解明に資するため、従来のものに比して大型な供試体の直接引張試験装置について研究を行うものである。従来の直接引張試験は、供試体直径10〜15cm程度以下、最大骨村寸法20〜40mm程度以下のものがほとんどである。過去に行われた直接引張試験方法は供試体に引張力を与える方式より、a)ボルト締め方式b)挟み込み方式c)埋め込みボルト方式d)鋼板接着方式に大別される(図−1)。また、供試体形状は一様断面の円柱、角柱、断面形状の変化した鼓形等、様々なものが用いられ現在でも確立された試験方法はない。直接引張試験が適正であるためには、偏心のない一軸引張状態で供試体内を一様な応力状態とする必要がある。特にコンクリートの破壊過程においては、コンクリートの材料複合性により一部の骨材界面の剥離が起点となり破壊が進行し、その後の試験状態ひいては試験結果に大きく影響を与えることになる。またこの影響は供試体を大型化したり、骨材を大きくする程大きくなり易いと考えられる。この点を考慮すると直接引張試験においては、少なくとも試験方法に起因して不均一な応力状態が生じないようにし、載荷初期段階では一様な応力状態とすべきである。従来の直接引張試験においても、試験方法に起因して十分な試験成功率が得られなかったり、引張強度を適正に評価していない場合がいくつかあると思われる。本研究では、まず供試体内にできるだけ一様な応力状態を得るという点に着目し、試験方法の選定を行った。そしてその結果採用した方法(供試体と鋼板の断面が同じ鋼板接着方式で、供試体の断面も一様な方法、以下鋼板及び供試体断面一様鋼板接着方式と称する)に対し、試験治具が供試体内の応力状態に与える影響についての解析的検討をFEM解析により詳細に行い、その検討結果より試験治具の設計を行った。さらに、作製した装置を用いてφ30xH60cmの円柱モルタル供試体の直接引張試験を行い、試験装置の妥当性の検証を行った。これにより、コンクリートの大型供試体直接引張試験装置を提案するものである。
結論
1)大型供試体の直接引張試験装置について、供試体内の応力状態をできるだけ一様にするという点から試験方法の選定を行った。その結果、供試体と鋼板の断面が同じ鋼板接着方式で、供試体の断面も一様な方法(鋼板及び供試体断面一様鋼板接着方式)が最良の方法と考えられる。2)この試験方法においては、供試体内の応力状態にねじ込みシャフト半径やアタッチメント厚さが大きな影響を与える。試験治具の設計には試験装置を模擬した解析的検討を行う必要がある。本研究ではφ30cm、φ15cm供試体用試験治具の設計をFEM解析結果を基に行った。円形に限らず他の断面形状の供試体に対しても同様な検討を行い、試験治具を設計することができる。3)アタッチメント接着の接着剤の厚みや物性は、供試体内の応力状態にはほとんど影響しない。4)本研究において作製したコンクリートの大型供試体直接引張試験装置により、供試体寸法、骨材の大きさ、試験方法等、引張特性の要因に関する試験が行われることが期待される。
PDFファイル名 014-01-1092.pdf


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