種別 論文
主題 アスファルト乳剤がアスファルトセメントモルタルの諸特性に与える影響について
副題
筆頭著者 上田満(山口大学)
連名者1 田代忠一(山口大学)
連名者2 黒川卓郎(日瀝化学工業)
連名者3 小林哲夫(大阪セメント)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 573
末尾ページ 578
年度 1992
要旨 まえがき
アスファルト乳剤は水中にアスファルトを微細(0.5〜6μ)粒子として分散した褐色のデスパーションで、その構造は一種の疎水コロイドである。その水中油滴型O/W(Oil in Water)の場合油が水中に分散したようなものであり、普通一般の乳剤はこれに属している。アスファルト乳剤を混和剤として構造用のセメント系マトリックスに適用した例はスラブ軌道、その他いろいろあるがまだ少なく今後の課題として検討きれるべきものである。この様なことから本研究の目的はアスファルトセメントモルタルを構造用に使用するとして、まずその諸物性を明確にしなければならず、使用材料(特にアスファルト乳剤)、配合等がアスファルトセメントモルタルの諸特性にあたえる影響について検討したものである。アスファルト乳剤の特性を大きく左右する要因として乳化剤の種類の他濃度、アスファルト針入度が考えられる。混合用アスファルト乳剤についての規格では濃度が57%以上、針入度60〜300となっている。欧米諸国に於てはもっと高濃度でしかも針入度の小さいアスファルトを用いたアスファルト乳剤も使用されており、これらは浸透用アスファルト乳剤と思われ、いわゆるマカダム工法に適用される乳剤である。そこでアスファルト乳剤を濃度57%、60%の2種、アスファルトの針入度を60〜80、150〜200の2種変化させこの組合せとして得られる計4種の乳剤およびそのうちの1種に混和剤を加えたもう1種計5種を用いてアスファルトセメントモルタルを作成しこのコンシステンシー、可使時間、曲げ強度および圧縮強度の比較を行った。またアスファルト乳剤量がアスファルトセメントモルタル(以下モルタルと言う)のたわみ性等に与える影響を検討する為に一軸圧縮試験、曲げクリープ試験を行いC/E(セメント量とアスファルト乳剤量との比)と残留強度率、クリープコンプライアンスとの関係も検討した。
まとめ
本研究ではアスファルトセメントモルタルの諸特性がアスファルト乳剤によって受ける影響について述べたものであるが、本研究の範囲内で次のことが言える。1)モルタルの混合直後に於けるコンシステンシーは乳剤濃度及び混和剤によって調整することが可能である。2)モルタルの可使時間は乳剤に使用しているアスファルトの針入度によって影響され柔らかいアスファルトを使用すれば可使時間は長く取ることが可能である。3)混和剤混入乳剤はモルタルのスランプ増大に効果が認められる。4)アスファルト針入度は曲げ、圧縮強度には大きな影響は及ぼさないが乳剤濃度により強度分布が上下(乳剤量に平行な方向)にシフトする。5)残留強度率65%以上を確保するためにはC/E=1.5以下に抑える必要がありこれを保てばある程度のたわみ性も発揮するものと思われる。6)クリープコンプライアンスの経時変化はC/Eが小さいと大きく、C/Eが大きくなると経時変化は小さくなり弾性的な挙動を示す様になる。本実験の範囲内に於てはクリープコンプリアンスは10-5〜10-4のオーダーの値である。なおアスファルト乳剤をアスファルトセメントモルタルに適用する場合乳剤適合性について今後とも検討する予定であり、アスファルトセメントモルタルの曲げクリープ特性を含めた他の諸特性を明確にすることも計画中である。
PDFファイル名 014-01-1096.pdf


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