種別 | 論文 |
主題 | 軽い衝撃荷重を受けるコンクリート部材の応答解析 |
副題 | |
筆頭著者 | 白烏雅也(山梨大学大学院) |
連名者1 | 桧貝勇(山梨大学) |
連名者2 | 岡村雄樹(山梨大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 1 |
先頭ページ | 679 |
末尾ページ | 684 |
年度 | 1992 |
要旨 | まえがき 近年、交通量の飛躍的増大、大型車両の増加などにより、道路橋RC床版のひび割れ、早期劣化、鉄筋の腐食といった損傷問題が社会的に大きな関心を集めている。この様な状況下、維持管理を合理的に行うために必要となるRC床版の損傷メカニズムの解明と損傷評価に関する研究が関係各機関で精力的に実施されてきている。現時点までに得られている研究成果によると、RC床版の損傷のメカニズムは、貫通ひび割れの発生、漏水と遊離石灰の溶出、輪荷重による貫通ひび割れ面のすりみがき作用、ひび割れの拡大の経緯をたどり、最終的には床版のせん断抵抗力の低下を引き起こす、と考えられている。この損傷メカニズムによると、RC床版の損傷は貫通ひび割れの発生状況を詳細に調査すればその程度がわかることになり、現状のRC床版の損傷状態の調査も、床版下面のひび割れを目視観察することによって行っている。しかし、この目視観察による損傷度判定方法は、定量的な把握を欠き個人差を生じやすく判定結果に主観的あいまいさが付随すること、さらに多大な時間と労力がかかることなどの問題を抱えている。筆者らは、この様な事情を考慮して、RC床版のひび割れ発生状況を定量的に且つ容易に測定できることを最優先に考えた非破壊試験方法の確立を目指した研究を行ってきている。その方法は、RC床版に小さな衝撃力を与え、衝撃に対するRC床版の加速度応答を解析することによって、RC床版に発生したひび割れの状態を定量的に調べるものである。これまでに、筆者らが実施したRC床版をモデル化した供試体を用いた試験の結果から。加速度波形の振幅および周波数分布の変化に着目することで、RC床版に生じたひび割れ発生状態を把握できることが確かめられている。しかしながら、衝撃応答特性によるひび割れ評価を実橋RC床版で行うためには、橋の構造形式、床版厚などの相違等が加速度応答に及ぼす影響を明らかにしなければならないが、これらを実験のみによって解決するには限界があり、解析的アプローチが必要となる。本論文は、軽い衝撃荷重によるRC床版の応答を解析面より検討する第一段階として、ひび割れのない無筋コンクリートはりの衝撃応答を有限要素法によって解析する上での問題点について実験結果と比較して検討を行った結果を示したものである。 結論 衝撃応答特性によるコンクリート構造物の健全度判定法の理論的根拠を得ることを最終目的として、簡単な無筋コンクリートはりの加速度応答を有限要素法によって解析する上での問題点を、実験結果と比較して検討を行った結果、以下のような結論が得られた。1)解析に用いる有限要素の種類によって、衝撃荷重に対する加速度応答の解析結果には違いが生ずる。また、本解析に用いたような等分割の三角形一次要素はこの種の解析には適していないようである。2)実験から得られた加速度応答の周波数特性と、解析によって求めた周波数特性には一致する部分もあるが、一致しない部分も多い。すなわち、実験においては、高次の曲げモード(A)および低次の厚さ方向伸縮モード(B)の影響が大きいが、解析においては、Bモードおよび高次の厚さ方向伸縮モード(C,D)の影響が卓越している。3)衝撃荷重の接触時間、要素分割の方法を変化させても、2)に述べた周波数特性の相違を解消することはできなかった。4)衝撃荷重に対するコンクリート部材の加速度応答を有限要素法解析によって精度よく算定するためには、今後さらに、適切な有限要素の種類、分布質量マトリックスの適用、適切な減衰の考え方、荷重の適切なモデル化等についての検討が必要であると思われる。 |
PDFファイル名 | 014-01-1115.pdf |