種別 論文
主題 自然電位法のCSM逆解析に関する研究
副題
筆頭著者 山村浩紀(熊本大学大学院)
連名者1 大津政康(熊本大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
14
1
先頭ページ 717
末尾ページ 722
年度 1992
要旨 はじめに
鉄筋腐食の非破壊的検査には、現在までに分極抵抗法と自然電位法とが主に使用されている。しかし、分極抵抗法は腐食電流を測定するもので計測時点での腐食の程度を直接に表すものではない。一方、自然電位法は腐食の程度に関係するが、コンクリート表面での電気的な評価にすぎず、測定値がコンクリートの状態にかなりな影響を受けることが報告されている。これを解決するための一解決法として、コンクリート表面ではなく、鉄筋表面での電位を求めることが考えられる。このため、3次元境界要素法(BEM)による解析法を提案したが、解析にかなりな労力が必要となり実用的でない点が問題であった。そこで、仮想電位法(Charge Simulation Method;CSM)を用いた手法を考案したが、まだ適用性について明かにすべき点があると考えられたため、この解析法の妥当性について数値実験および実験により検討する。
結論
自然電位法の測定値より鉄筋表面での電位を推定する方法としてCSMにより逆解析する手法の開発を試みた。この結果、次のような結論が得られた。1)鉄筋でのアノード−カソード反応による電位の変化を、BEMを用いた数値実験により検討した。この結果、鉄筋上の腐食電流密度の分布とコンクリートの表面電位分布は対応するが、それは一意な関係を与えるものではなく、電位分布のみから腐食電流の発生している領域を推定することは容易ではないことが認められた。2)鉄筋上の電位を境界条件としたBEM解析により、コンクリートの抵抗は腐食電流の変化には関係するが、コンクリート表面での電位には均質なコンクリートと仮定できるならば、影響されないことが明らかになった。ただし、現実のコンクリートでは、内部の水分分布、表面の電気的条件などにより、均質として取り扱える領域は限られることもあり、その点はさらに検討することが求められよう。3)これらの結果によって、コンクリート表面での自然電位の測定結果が与えられており、鉄筋の配筋位置がわかっているならば、鉄筋上の電位分布は既に開発しているCSM逆解析法により求められることが導かれる。そこで、その精度について同じ数値実験のモデルを用いて検討した。その結果、鉄筋端部を除けば、十分に精度よく鉄筋上の電位分布が決定できることが明らかになった。4)電食実験において促進腐食させたRC梁モデルにおいて、コンクリート各面の自然電位を電食実験後に測定いた。そして、これらの値を用いて、CSM逆解析により鉄筋表面での電位を推定した。求められた鉄筋表面の電位の値と実際の腐食の関係は,ASTMの基準とよく対応していることが認められた。これは、自然電位法における不確定性を大きく改良した手法であると考えられる。5)また、最近では自然電位の測定は、マイクロコンピュータを用いた自動計測システムとなっている場合が多いと考えられるが、CSM逆解析のソフトウェアは非常に簡単であり、容易にそれらのシステムに組み込むことが期待される。
PDFファイル名 014-01-1122.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る