種別 論文
主題 促進試験と屋外自然暴露によるコンクリート中の各種鉄筋の腐食性状
副題
筆頭著者 枝広英俊(芝浦工業大学)
連名者1 依田彰彦(足利工業大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
14
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先頭ページ 757
末尾ページ 762
年度 1992
要旨 はじめに
コンクリート構造物に用いられる鉄筋は、その90%以上が電気炉製鋼によって生産されている。電炉鉄筋の主な装入原料には、ヘビーやプレスなどの鋼屑が用いられるため、高炉材と比較して化学成分が異なり、電炉鉄筋の方が除去し難いとされる銅、錫、クローム、ニッケルなどが多く残留する。また、溶鋼を圧延・冷却する際にはミルスケール(黒皮)が生成するが、その冷却方法も製造工場によって異なり自然冷却や水冷または風冷処理などが行われているのが現状である。これらの理由から、鉄筋の銘柄・種類等によって腐食性状が幾分異なることが予測される。しかし、コンクリート中の鉄筋の腐食性状については、通常マクロセル腐食で説明されるが、その究明に長年月を要すことから十分な検討がなされているとは言い難い。そこで、本実験研究では既に報告した塩化物イオンの挙動に関する研究や鉄筋の腐食・防食に関する研究に引続き、みがき棒鋼と銘柄の異なる異形鉄筋を任意に選び、一応の目安を得るために塩分濃度の異なる各種溶液に浸漬後、発錆による重量変化率を比較検討した。さらに、コンクリート中での腐食試験を行うために、みがき棒鋼と任意に選んだ4銘柄の異形鉄筋に対してJIS A 6205「鉄筋コンクリート防せい剤」の付属書に示されているオートクレーブによる方法をはじめ、乾湿繰返し試験や中性化促進試験および屋外自然暴露試験を単独もしくは組合せて行い、促進試験の特徴と有用性を探ると共に、各種鉄筋の発錆性状の傾向と差異を捉えることを目的とした。
まとめ
本研究では、みがき棒鋼と任意に選んだ銘柄・種類の異なる黒皮鉄筋及びみがき鉄筋を用いてNaCl濃度の異なる溶液に浸漬して重量変化率を比較すると共に、コンクリート中の各種鉄筋について自然暴露や腐食の促進試験を行った結果、本実験の範囲ではあるが主に以下の事柄が明かとなった。1)NaCl溶液中ではその濃度による影響は少ないが、ペースト上澄水を用いると発錆が急減する。2)溶液中またはコンクリート中であっても、冷却時に生成される黒皮の組織や膜厚、または化学成分の差異などによって発錆が異なる。3)オートクレーブによる腐食の促進試験では、高温・高圧条件であることから自然条件下とは腐食生成物が異なったり、サイクル数が増すとCl-の移動に伴う腐食の影響が大きくなる。4)乾湿繰返し試験は、自然環境下と類似した腐食生成物・性状を示し、発錆面積率は若干大きくなる傾向にある。ただし、単独の試験では顕著な腐食が認められるまでには長年月を要する。5)今後の検討課題ではあるが、鉄筋の黒皮を生成するための温・湿度管理、またはSやCuなどの化学成分の調整などによっては腐食の抑制が多少なりとも可能と思われる。
PDFファイル名 014-01-1129.pdf


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