種別 論文
主題 信頼性理論に基づいた塩害に対する最適かぶり厚さ
副題
筆頭著者 松島学(東電設計)
連名者1 堤知明(東京電力)
連名者2 関博(早稲田大学)
連名者3 松井邦人(東京電機大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 825
末尾ページ 830
年度 1992
要旨 はじめに
近年、コンクリート構造物の劣化損傷例が数多く報告されてきた。特に、除塩不足の海砂使用あるいは、海洋環境での海塩に起因する鋼材腐食による塩害による損傷の報告例は多く、補強例も増加の一途をたどっている。このように、孔食による鋼材伸び能力の低下あるいは鋼材断面の減少による耐力の低下等が心配される。コンクリート構造物の有する種々の性能は長期的には低下するものであり、その低下の速度は、設計、施工、維持管理などの各要因の影響を受ける。これらの対応策として、耐久性設計の適用が提案されているが、手法的には、まだ一般化した方法が見られないのが現状である。Bazantは、コンクリート中の鋼材の腐食現象に物理モデルを適用し、構造物の耐用年数を計算する方法を提案している。Browneらは、かぶりコンクリート中の塩分浸透に基づき、非破壊試験のデータから構造物の健全度の評価方法と耐用年数の推定方法を提案している。しかし、実構造物への適用に対しては問題も多く、精度のよい予測を行うには至っていない。「鉄筋コンクリート構造物の耐久性に関する考え方」でも鉄筋の腐食開始時間を限界状態とし、物理的モデルによる耐久性の評価式を提案しているが、その評価式の精度は大きくばらついている。この理由として、計算条件として与えたデータの不確実性に含まれる誤差、塩分浸透作用自身が持つばらつきなどの影響が考えられる。本研究は、コンクリート構造物の表面塩分量C0が得られている場合に、t年後の鉄筋近傍の塩分量を求め、その値が限界塩分量に達した時を限界状態とし、最適なかぶり厚さを求めたものである。一般に、劣化に関する各パラメータは、おおきなばらつきを有することが多く、確定量として取り扱うには無理がある。本研究では、劣化に関する各パラメータが確率変量であるとして取扱い、コンクリート構造物の劣化の推定を行い、期待費用最小の考え方に基づいて最適かぶり厚さを求めるものとする。
まとめ
本研究では、コンクリート構造物の表面塩分量が既知である場合に、限界塩分量に達する発生確率を求め、劣化の予測から、期待費用最小の考えを用いて最適設計かぶり厚さを求めたものである。以下に得られた結果を要約する。1)塩害による劣化モデルを確率論的な立場から、Fickの拡散方程式の性能関数を定義した。この中で、1)みかけの拡散係数DC、2)鉄筋のかぶり厚さXt、3)初期塩分量CI、4)限界塩分量Climitを確率変量として取り扱うものとした。2)塩害による劣化モデルと期待費用最小の考えから最適設計かぶり厚さを求める手法を提案した。その結果、表面塩分量C0=8.0kg/m3の場合、最適設計かぶり厚さXtdopt=9.0cmが選択され、表面塩分量C0=12.0kg/m3の場合、最適設計かぶり厚さXtdopt=12.0cmが選択される。
PDFファイル名 014-01-1142.pdf


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