種別 論文
主題 コンクリートの塩分浸透における乾燥及び微細構造の影響
副題
筆頭著者 村上祐治(間組)
連名者1 山下英俊(間組)
連名者2 鈴木篤(間組)
連名者3 大津政康(熊本大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 831
末尾ページ 836
年度 1992
要旨 まえがき
コンクリート構造物の劣化が近年、多発していることが各機関より報告されている。その劣化現象は我が国が海に接していることから塩害が頻発していることが伝えられ、社会資本の損失の面から社会問題となっている。塩害を受けるコンクリート構造物の劣化は、主にコンクリート中に塩分が浸透し、鉄筋部分の塩分量が限界腐食塩分量となって鉄筋が腐食して膨張することであり、塩害の発生箇所は海水中よりもスプラシュゾーン、陸上部が被害にあっているという報告もある。これは、コンクリート中の塩分浸透のメカニズムが水中と気中での相違、酸素量の違いのよるためと考えられている。コンクリート中の塩分浸透は、塩化物の濃度、温度、相対湿度、飽水度、乾燥時間、塩水浸せき時間、乾燥−塩水浸せき繰り返し回数などの構造物の受ける環境(外的要因)、並びに圧縮強度、空気量、細孔径分布などのコンクリートの材料特性(内的要因)に大きく影響される。本研究では、コンクリートの微細構造を表す細孔径分布と物理化学的な相変化に着目して、コンクリートの空隙中の水分の蒸発量を表す乾燥水量を算出し、塩水浸せき実験結果と対応することによってコンクリートの塩分浸透のメカニズム及びコンクリートの微細構造の関係について検討したものである。
まとめ
今回の実験の範囲で次の結論を得た。1)塩分の浸透は外的要因として、乾燥時間、乾燥−塩水浸せき繰り返し回数、内的要因として、水セメント比、空気量、細孔径分布などに影響される。2)ひずみの挙動から、乾燥−浸せきサイクルが進及び乾燥時間の増加に連れて、表面から奥行き方向に乾燥範囲が広がる。3)コンクリートの空隙中が水分で満たされている場合には水液中の塩分の拡散(Diffusion)、乾燥して空洞になっている場合には塩水の流れを持った移流拡散(Penetration)となっており、後者の方が塩分の拡散係数は高くなる。4)熱力学的な相変化とコンクリートの細孔径分布を組み合わせることにより、塩分の浸透に関係する乾燥水量が算出でき、乾燥水量と塩分浸透は密接な関係となった。コンクリートの耐塩害性は複雑な要因に支配されており、外的要因及び内的要因を評価した上でコンクリートの耐塩害性を総合的に表す指標値が望まれている。今回求めた乾燥水量、乾燥時間及びコンクリートの品質は塩分の浸透を直接的に表す要因と考えることができ、これらからコンクリートの耐塩害性を表す指標値を構築していきたい。
PDFファイル名 014-01-1143.pdf


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