種別 論文
主題 極低温下における鉄筋の耐衝撃性に関する研究
副題
筆頭著者 三浦尚(東北大学)
連名者1 瀬戸謙一郎(東北大学大学院)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
14
1
先頭ページ 889
末尾ページ 894
年度 1992
要旨 はじめに
極低温下において、コンクリートの引張強度は湿度の低下に伴って増加し、さらにその破壊はより脆性化する。そのために、鉄筋コンクリートのコンクリート部分に引張破壊が生じる場合、鉄筋に衝撃的に荷重が作用し、鉄筋に大きな歪や歪速度が発生することが実験によって示されている。一方、極低温下において鉄筋は破壊に際しての歪速度依存性が大きくなり、衝撃的な荷重下では脆性的に破壊する。したがって、極低温下にさらされる鉄筋コンクリート部材は、コンクリート破断時の衝撃により、鉄筋が脆性破断する恐れがあると考えられる。またこの場合、鉄筋が曲げ加工されていると、与えられた予歪の影響により、加工していない場合に比べてより脆性的に破断する可能性が大きくなることも示されている。そこで、本研究ではまず、極低温下の鉄筋コンクリート部材のコンクリート破断時の衝撃が鉄筋に及ぼす影響を定量的に把握するために、鉄筋に生じる歪速度を両引供試体を用いて測定した。そして、そこから得られた結果を参考にして鉄筋単体で、極低温下における鉄筋の耐衝撃性に及ぼす鉄筋の曲げ加工や温度の影響について調べた。さらに実構造物においては鉄筋の曲げ加工やフシの形状は多岐にわたるため、より実際に則した条件での簡単な鉄筋の耐衝撃性の判定法の開発を試みた。
結論
(1)コンクリート破断時に鉄筋に生じる歪速度は、ばらつきが大きいものの、コンクリートが湿潤状態で鉄筋比が約1.5%以下の場合、常温時でおよそ0.5s−1程度、−50℃でおよそ10s−1程度、−100℃で14s−1程度、−150℃で10s−1程度、−196℃で5s−1程度であると言える。(2)鉄筋の予歪と破断温度との間には直線関係があることがわかり、この関係を用いることによって使用される温度とその時の鉄筋の許容冷間加工度との関係が求められることがわかった。(3)両引試験から得られた結果と照らし合わせてみると、今回衝撃試験に使用した鉄筋は、極低温下においては10φより小さい曲げ加工を施されたとき、鉄筋の耐衝撃性は低下し破断する危険性がある。このように、極低温下で使用される鉄筋の曲げ内半径の最小値は、使用される鉄筋の種類や性質、使用環境の最低温度等を考慮して定められなければならない。
PDFファイル名 014-01-1153.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る