種別 論文
主題 最低温度が凍結融解作用下のコンクリートの劣化に及ぼす影響について
副題
筆頭著者 野本高憲(東京電力)
連名者1 江川顕一郎(東京電力)
連名者2 野口博章(東電設計)
連名者3 山下英俊(間組)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 1015
末尾ページ 1020
年度 1992
要旨 まえがき
凍結融解作用下のコンクリートの劣化メカニズムについては、1945年のPowersの水圧説の発表以来多くの研究がなされている。鎌田は凍結温度の細孔径依存性が重要であることを指摘している。凍結温度の細孔径依存性とは、コンクリートの細孔中の水は粗大径のものほど凍結温度が高いことから、温度低下時には粗大径の細孔中の水が凍結した状態で微小径の細孔中の水が凍結することを意味し、細孔水の氷点降下として知られている。さらに吉川らは、凍結温度の細孔径依存性に基づき、コンクリート中の凍結水量をある仮定に沿って算定すれば、この凍結水量からコンクリートの劣化度を推定することが可能であるとしている。凍結融解作用下のコンクリートの劣化に影響を及ぼす要因を外的要因と内的要因に分ける場合、外的要因は外からコンクリートに作用する劣化外力に相当する要因であり、内的要因は外力を受けてコンクリート内部に発生する劣化内力および外力に対する内部抵抗力に相当する要因である。外的要因には最低温度、冷却速度および凍結持続時間などがあるが、この中で凍害に最も強く影響するのは最低温度であることを、田畑らは実験結果から示している。一方、内的要因には細孔径分布および気泡組織などがある。筆者らは、主にダムコンクリートを対象として凍結融解作用下にあるコンクリートの寿命予測手法を確立することを目的として検討を進めている。今回は最も重要な外的要因である最低温度を変えた室内凍結融解試験を行った。その際内的要因に関する留意点としては、気泡組織の影響が無視できるようにAE剤無混入のコンクリートで実験を行うこととし、また水セメント比の変化により細孔径分布を変えた。
あとがき
本研究のように、最低温度を変えた促進試験の結果に対し、凍結水量を算定し劣化度の推定を試みたものは過去に報告されていない。今回の検討結果から最低温度および水セメント比が異なっていても凍結水量が求まればコンクリートの劣化度を推定できることがわかった。この成果は、まえがきで述べた従来からの知見のうち、最低温度が凍害に最も強く影響する外的要因であることと、凍結水量に基づきコンクリートの劣化度を推定することが可能であることを結びつけるものであり、基礎理論の再確認であると考えられる。また同時に、寿命予測に関する一つの提案式として、3.2の(2)式に示したように、本実験の範囲内でのnonAEコンクリートの相対動弾性係数低下勾配の推定式を求めることができた。
PDFファイル名 014-01-1176.pdf


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