種別 論文
主題 繊維補強コンクリート部材の靱性設計に関する研究
副題
筆頭著者 浦野登志雄(八代工業高等専門学校)
連名者1 村上聖(熊本大学)
連名者2 三井宜之(熊本大学)
連名者3 志垣隆浩(熊本大学大学院)
連名者4  
連名者5  
キーワード
14
1
先頭ページ 1033
末尾ページ 1038
年度 1992
要旨 はじめに
最近のRC構造設計の動向に見られるように、RC構造物の終局性状の向上に部材の靱性確保が要求されている現状で、靱性に乏しいコンクリートの脆性的な性質を改善するために鋼繊維補強コンクリート(SFRC)のRC部材への適用が注目されている。その際に、SFRCの優れた靱性を構造安全上の単なる余力として扱うのでは、コスト的にSFRCを用いる意味が失われる。しかしながらSFRCの靱性、特に引張靱性を考慮した部材設計は未だ十分に確立されておらず、SFRCの引張靱性を適切に評価し、その結果を部材設計にどの様に反映させるかがSFRCの構造部材への用途開発において重要な課題である。これまでにSFRCの靱性評価法としてJCI規準案が示されているが、そこで提案の靱性指標は、靱性の改善効果を相対的に評価するものでしかなく、部材設計にはSFRCの応力度−ひずみ度関係を定量的に表示することが必要である。しかし、SFRCの特に引張応力度−ひずみ度関係を直接実験的に求めることは難しく、引張靱性に及ぼす部材の寸法効果も含めてその関係を十分に定量化できるほどの実験データはほとんどないのが現状である。そこで本研究では、シリーズ1)で曲げ試験による荷重−変位関係の測定値と計算値の一致から引張応力度−ひずみ度関係を推定する手法に基づいて、その関係に及ぼす部材の寸法効果について実験及び解析の両面から検討を行い、SFRCの引張応力度−ひずみ度関係の寸法効果を考慮する方法を提案した。シリーズ2)では、本手法の適用妥当性を調べる目的で、鋼繊維補強RCはり(SF−RCはり)の曲げ性状に関してSFRCの引張靱性とその寸法効果を考慮したSF−RCはりの曲げ解析を行い、実験結果との比較検討を行った。
まとめ
本実験の範囲内で次のような知見が得られた。1)SFRCに関して高応力体積と引張強度比を両対数で表示するとほぼ直線的な関係が得られ、曲げ強度と割裂引張強度はほぼ同一線上にのることが明かとなった。このことはコンパクトな割裂引張供試体を用いることで大寸法はり試験体の曲げ強度の推定が可能であることを示している。2)SFRCの曲げ靱性の寸法効果は曲げ強度比のほぼ2乗で表され、靱性が強度と延性の相乗効果で表されるとすれば、強度(応力度)と変形能力(ひずみ度)の寸法効果がほぼ同程度であることを示している。このことは、引張応力度−ひずみ度関係の寸法効果を応力度とひずみ度の両方を同じ比率で縮小する方法で考慮できる可能性を示唆している。3)以上の知見に基づいてSFRCの引張靱性とその寸法効果を考慮したSF−RCはりの曲げ解析結果と実験結果の比較検討を行い、基準はり試験体について推定された引張応力度−ひずみ度関係を基準試験体に対する曲げ強度比を相似比として縮小することにより、曲げモーメント−曲率関係及び引張鉄筋降伏モーメントの解析結果と実験結果の間に良い対応が得られた。
PDFファイル名 014-01-1179.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る