種別 | 論文 |
主題 | 高炉スラグ系混合セメントの水和熱および温度上昇の推定法の研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 田中敏嗣(日本セメント) |
連名者1 | 井上和久(日本セメント) |
連名者2 | 下山善秀(日本セメント) |
連名者3 | 富田六郎(日本セメント) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 1 |
先頭ページ | 1081 |
末尾ページ | 1086 |
年度 | 1992 |
要旨 | はじめに セメントの水和熱からコンクリートの温度上昇を推定する方法は、これまでに幾つかの研究成果が報告されている。筆者らはこの方法の1つとして、後記図−1に示すように、まず水和温度とセメント発熱特性の関係を求め、水和反応の温度依存性を考慮したコンクリートの断熱温度上昇を推定する実用的な方法を提案し、推定法の簡便化や高炉スラグ系混合セメントへの応用を検討した。この推定法で高炉スラグ系混合セメントを用いたコンクリートの断熱温度上昇を推定するためには、混合セメントそのものの水和発熱特性のデータが必要となる。それに対し、ポルトランドセメントと高炉スラグ単体の発熱特性が個別に評価できれば、それらの案分合成で任意の置換率の高炉スラグ系混合セメントの発熱特性が推定できると考えられる。しかし、高炉スラグ単体の発熱特性を評価する場合、自硬性がない、刺激剤を用いるとセメント中におけるスラグの反応とは形態が異なる等の問題がある。本研究は、高炉スラグの反応率を考慮して高炉スラグ単体の発熱特性を評価し、ポルトランドセメントとスラグそれぞれ単体の発熱特性から比較的置換率の高い領域における高炉スラグ系混合セメントの発熱特性を推定する手法を検討したものである。さらにこの推定法を用いてコンクリートの断熱温度上昇を推定し、実測値と対比することによって本手法の妥当性を検証した。 結論 本研究は、高炉スラグの反応率を考慮してスラグ単体の発熱特性を評価し、ポルトランドセメントとスラグそれぞれ単体の発熱特性から比較的スラグ置換率の高い領域における高炉スラグ系混合セメントの発熱特性を推定する手法を検討したものである。さらにこの推定法を用いてコンクリートの断熱温度上昇を推定し、実測値と対比することによって手法の妥当性を検証した。本研究の範囲内で次の結論が得られた。(1)混合セメント中のスラグ反応率は、スラグ置換率の増加とともに低下し、同一の置換率においては水和温度が高い方が大きい。(2)スラグ反応率とスラグの発熱特性には相関関係が認められた。すなわち、発熱の終局値を示すH0は反応率の1次関数で、発熱速度に関連する係数αは反応率の2次関数で示すことができる。(3)今後さらを種々の条件でスラグ単体の発熱特性および反応率の測定等を行なう必要があるが、スラグ単体の発熱特性をスラグ反応率を考慮して評価を行うことで、ポルトランドセメントとスラグそれぞれ単体の発熱特性から高炉スラグ系混合セメントの水和発熱特性を推定し、さらにコンクリートの断熱温度上昇を推定することは基本的に可能であると考えられる。 |
PDFファイル名 | 014-01-1187.pdf |