種別 | 論文 |
主題 | 壁状構造物の温度ひびわれ幅の評価に関する実験的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 河野一徳(前田建設工業) |
連名者1 | 三島徹也(前田建設工業) |
連名者2 | 佐藤文則(前田建設工業) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 1 |
先頭ページ | 1097 |
末尾ページ | 1102 |
年度 | 1992 |
要旨 | はじめに 温度応力によるひびわれ幅を解析的に算定する方法の代表的なものとして、田辺らのコンペンセーション・プレーン(ライン)法を拡張した方法(以下拡張CP法と略す)、佐藤らの鉄筋とコンクリートの付着を基礎とした方法、吉川ら、森本らのFEMを用いた方法が挙げられる。しかしながら、いずれの方法においてもモデル化やパラメータ値の与え方などに検討課題が残されており、実用レベルでのひびわれ幅予測に適用するためには、それぞれの課題についての詳細な検討が必要と考えられる。本論文は、筆者らが温度ひびわれ幅の評価を目的として実施した小型模型実験の概要、および実験により得られたひびわれ幅の実測値と解析結果の比較検討の内容について述べたものである。実験は、佐藤らの方法を参考とし、試験体中に埋め込んだステンレス製のスチールパイプに温度コントロールした水を流すことにより、試験体に温度応力によるひびわれを人為的に発生させる方法で行なった。また、ひびわれ幅の解析は、拡張CP法および離散ひびわれモデルを組み込んだFEMを用いて行なった。なお、実験方法は文献において報告したものと基本的に同じであるが、今回新たにひびわれ発生時におけるコンクリートの応力解放領域を実測し、解析における基本データとした。 まとめ 今回行った実験、解析および両者の比較検討から得られた結果をまとめると以下のようになる。1)ひびわれ発生直後において、ひびわれ位置近傍の打継ぎ部のコンクリートに剥離が生ずる現象が実験およびFEM解析によって確認された。2)ひびわれ発生時に実測した応力解放領域の実測結果をもとにひびわれ影響領域lcを定め、拡張CP法によりひびわれ幅を解析した。この結果、解析値は実測値よりも小さめとなったものの、両者は比較的よく一致した。3)ひびわれ面および打継部を接合要素でモデル化したFEM解析によりひびわれ幅を解析した。解析値と実測値が比較的よく一致したことから、温度ひびわれ幅の解析においても離散ひびわれモデルを組み込んだ解析手法が有効であることが確かめられた。拡張CP法における基本パラメータ値lc/lsは、構造物の条件により変化すると考えられる。すなわち、lcは被拘束体の寸法や拘束状態などにより、また、lsは鉄筋径やかぶりなどによりそれぞれ変化すると考えられる。したがって、ひびわれ幅を精度よく評価するためには、lcおよびlsの大きさを、これらの条件に応じて合理的に定めることが必要となる。これらの問題の検討を進めていく上では、今回に用いたFEM解析が有効な手段になると考えられ、今後、FEMによるパラメータスタディおよび実験による検証を行い、lc/lsの合理的な評価手法の研究に取り組んでいきたいと考えている。 |
PDFファイル名 | 014-01-1190.pdf |