種別 | 論文 |
主題 | 壁状構造物の温度ひびわれ幅の推定に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 今井智満(名古屋工業大学大学院) |
連名者1 | 梅原秀哲(名古屋工業大学) |
連名者2 | 上原匠(名古屋工業大学) |
連名者3 | 田辺忠顕(名古屋大学) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 1 |
先頭ページ | 1103 |
末尾ページ | 1108 |
年度 | 1992 |
要旨 | はじめに RC構造物の温度ひびわれに対する基本的な考え方は、ひびわれを完全に防止しようとするものから、耐久性などに支障のない範囲内でひびわれを許容し、積極的にひびわれを制御していく方向へ移行してきている。その際重要となるのは、ひびわれ幅をいかに精度よく評価できるかということである。このような背景から、ひびわれ幅の算定法に関する研究が盛んに行われてきており、いくつかの簡易手法が提案されている。賀茂らによるコンペンセーション・プレーン法を拡張した方法(以下、CPひびわれ幅法と略す)もその1つであり、この方法によれば被拘束体が矩形の壁状構造物については、比較的精度のよい評価が可能となることが確認されている。ところで、この解析手法において鉄筋の付着消滅領域lsおよびひびわれ影響領域lcのみが解析パラメータとして用いられ、ls=15〜20cm、lc=2.5〜3.0mと報告されている。しかし、これらは図−1に示すような、壁中央部に発生する1本の貫通ひびわれに対しての値であり、図−2に示すようなひびわれが2本以上発生し、ひびわれ影響領域が重複する場合に対して、lcの値をそのまま用いてよいかが問題となる。そこで本研究では、ひびわれ間隔を変化させた場合の有限要素法による温度ひびわれ幅解析結果および壁状構造物の実物大の実験結果と、CPひびわれ幅法によるひびわれ幅の解析結果とを比較することにより、解析および実測との比較の両方から、ひびわれ間隔がひびわれ影響領域lcの値に与える影響について検討することを目的とした。 まとめ 本研究で得られた結果を要約すると以下のとおりである。1)CPひびわれ幅法を用いた温度ひびわれ幅の推定において、ひびわれ間隔が小さくなるほどひびわれ影響領域が重複することにより、lcの値を低減することの必要性が認められた。2)ひびわれ間隔Wと壁高さHとの比W/Hが3.5以下のときは、式(1)より得られたlc/lsの値を用いることにより、温度ひびわれ幅をより精度よく推定できる見通しが得られた。本研究は、実際に発生した複数の温度ひびわれを対象として、そのひびわれ幅を解析する際に必要となるlcの値について検討したものである。したがって、設計においてひびわれ幅の予測を行う場合は、ひびわれ本数が未知数となるためW/Hとlc/lsの関係を用いることはできない。しかし、温度ひびわれ幅はひびわれの本数が少なくなればそれだけ大きくなる傾向にあるため、最大ひびわれ幅を予測する場合において、壁の長さLが壁高さHの約3.5倍以内の比較的短い壁状構造物に対しては、WをLに置きかえることにより式(1)を適用することが可能となる。今後はこのように、CPひびわれ幅法を設計に用いる場合の検討を行っていきたいと考えている。 |
PDFファイル名 | 014-01-1191.pdf |