種別 | 論文 |
主題 | RCアーチ橋耐荷力解析 |
副題 | |
筆頭著者 | 上田芳夫(阪神高速道路公団) |
連名者1 | 幸左賢二(阪神高速道路公団) |
連名者2 | 宮本文穂(神戸大学) |
連名者3 | 若狭忠雄(新構造技術) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 2 |
先頭ページ | 161 |
末尾ページ | 166 |
年度 | 1992 |
要旨 | まえがき 一般に構造物の設計は、種々の荷重によって生じる応力度、変形を許容値以下におさめる許容応力度法を用いてなされることが多い。許容応力度法によって設計された構造物は設計荷重に対しては十分抵抗することが出来るが、大地震のような設計を超える荷重が作用した場合にはどれだけの荷重に耐えうるかを許容応力度法で評価することは困難である。一般的に構造物の安全な設計を実施するためには、終局時に構造物がどのような挙動を示すか照査する必要がある。特に不静定構造物においては、ある部材が降伏点を超えて塑性変形を生じても、まだ応力度に余裕のある部材が塑性状態に入った他の部材の負荷能力を分担することによって大きな破壊耐力を持つ。このため弾性限界荷重を基準にして各部材ごとに一律の安全率を確保しても構造系全体として正しい安全率を確保したことにはならない。すなわち、構造物は極限強度に達すればその使用価値を失うから、構造物の設計は、極限強度に対してある一定の安全性が確保されるように行うのが合理的である。解析対象橋梁は不静定次数の高い両端固定アーチ橋であり、モーメント再配分の影響が大きいと考えられる。そこでまず再配分の影響を考慮した非線形解析により構造系全体の破壊耐力、モーメント再配分率およびじん性等を検討した。その結果、地震時、活荷重時においてもアーチリング基部において最初に鉄筋降伏および破壊が生ずることが明らかになった。基部付近は拘束作用が生じること、鉄筋の抜け出しの影響等があり、解析手法のみで破壊形式、破壊領域を評価することは困難である。このため、実橋基部の1/10程度の供試体を作成し破壊耐力確認実験を実施した。ついで、実験で得られた基部付近のM−φ曲線を用いて構造物全体系としての耐荷力の再評価を実施した。 まとめ コンクリートアーチ橋において実施した耐荷力解析及び実験の結果を以下にまとめる。1)地震作用時解析の結果は設計基準荷重に対して2.2倍程度の耐荷力を持つとともに破壊はアーチリング基部で生じた。また、線形解析との対比によるとモーメントの再配分効果により非線形解析結果は30-50%程度の耐荷力の増加が見込まれる。2)本解析では分割長および鉄筋ひずみ硬化等により10数%耐荷荷重が変動する可能性を示しており、今後特に分割長の取り方についてさらに検討する必要がある。3)実橋の1/10模型による耐荷力実験において、一般部におけるM−φ曲線は理論解析曲線とほぼ同じ傾向となった。しかしながら、基部付近では拘束効果によるひずみ硬化、鉄筋の引き抜けの影響による回転ひずみを生じた。4)実験による破壊形式は曲げ破壊であり、終局破壊域は基部のd程度の範囲であった。また、基部付近の拘束の影響はl=dの範囲に及んでいる。このことから基部dの範囲に破壊が集中し、様々な影響が作用すると考えられる。非線形解析においても分割長はl=d程度は確保しその破壊形態を考慮することが望ましい。5)実橋における詳細な耐荷力を予想することは困難さが伴うが、実験結果はいずれの要素も耐荷力が大きくなる可能性を示しており、非線形解析値程度は確保されていると類推される。 |
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