種別 | 論文 |
主題 | 反曲点を有する鉄筋コンクリートはりのせん断耐荷機構について |
副題 | |
筆頭著者 | 古内仁(北海道大学) |
連名者1 | 上田多門(北海道大学) |
連名者2 | 角田輿史雄(北海道大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 2 |
先頭ページ | 233 |
末尾ページ | 238 |
年度 | 1992 |
要旨 | まえがき RC構造物において、連続ばりの支点付近やラーメン構造物の隅角部付近では、反曲点を持つような曲げモーメント分布となり、それらの部材のせん断耐力に影響を与えている。このような場合のせん断破壊性状は複雑であり、反曲点が存在するせん断スパン内には斜めひびわれが複数本発生する場合が多くみられる。現在、土木学会コンクリート標準示方書における棒部材のせん断耐力に対しては、二羽らによって行われた単純ばりの実験から得られた耐力式が元になって評価が行われている。この耐力式は、単純ばりのせん断耐力に対しては優れた評価を示すことが知られているが、上記のように反曲点が存在する場合には、耐力を過小に見積ってしまうことが、過去の実験から明らかにされている。このとき、計算に用いるせん断スパンは反曲点を無視したものであるが、本研究では、支点から反曲点までの距離あるいは最大曲げモーメント位置から反曲点までの距離をせん断スパンと考えて検討を行うことにしている。既往の研究では、破壊性状から図−1に示すように反曲点を境に形成される2つのせん断スパンにおいて、それぞれの位置に斜めひびわれが発生するものと仮定している。これらの斜めひびわれによる破壊に対しては、各々のせん断スパンを用いて前述の単純ばりの耐力式で算定することにしている。また、部材が斜め引張破壊をするとき、その破壊形式は2つのせん断スパンにおける耐力の大きさの違いによって異なるようである。この破壊形式は、2つのせん断スパンのうち一方だけに斜めひびわれが発生して破壊する場合と、両方のせん断スパンに斜めひびわれが発生して破壊する場合に分かれるようである。既往の研究では、前者の場合には、耐力が小さい方のせん断スパンのみによって算定することができ、後者の場合には、2つのせん断スパンにおける耐力の平均値としている。そこで、本研究はこれらの破壊形態に着目し、実験では、それぞれのせん断スパンにおけるせん断耐力の差が大きくなるように供試体を作製して行った。この供試体は、前回と同様に複鉄筋断面の張出しばりを用い、正負の曲げモーメントが作用するようにしたが、負の曲げモーメントが作用する断面の鉄筋比は、正の曲げモーメントが作用する断面の鉄筋比よりも小さくして実験を行った。また、2つのせん断スパンにおける斜めひびわれによるせん断耐力が部材のせん断耐力にどのように影響するかを調べるため、ひびわれの発達状況と主ひずみを測定し、破壊状況を調べるとともに、上記の単純ばりのせん断耐力式による評価についても検討を行った。 まとめ (1)今回の実験において、反曲点を有するRCはりの破壊形式は3種類あり、反曲点を挟む2つのせん断スパンにおいて、1本の斜めひびわれだけによる斜め引張破壊、2本の斜めひびわれによる斜め引張破壊、また載荷点と支点を結ぶ方向におけるせん断圧縮破壊に分けられた。(2)片側のせん断スパンにおける斜めひびわれの発生だけで破壊に至った場合は、そのせん断スパンにおける斜め引張耐力の計算値でせん断耐力が推定できる。(3)両方のせん断スパンに斜めひびわれが発生して破壊に至った場合、2つのせん断スパンにおける斜め引張耐力の算定値の大きい方でせん断耐力が推定できる。(4)せん断圧縮破壊をした供試体では、反曲点の影響が見られず、斜め圧縮破壊耐力式を用いて計算した算定値によるせん断耐力が近い値を示す。 |
PDFファイル名 | 014-01-2039.pdf |