種別 論文
主題 海水中におけるRCはりの疲労性状
副題
筆頭著者 西林新蔵(鳥取大学)
連名者1 井上正一(鳥取大学)
連名者2 吉野公(鳥取大学)
連名者3 井上祥一(鳥取大学大学院)
連名者4  
連名者5  
キーワード
14
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先頭ページ 279
末尾ページ 284
年度 1992
要旨 まえがき
近年、コンクリート製の海洋構造物が建造される機会が増えているが、この種の構造物は従来の陸上構造物に比べて極めて過酷な環境に暴露されることになる。この過酷環境は、鉄筋腐食やコンクリートの劣化をもたらすだけでなく、波による繰返し荷重の影響を考えた場合、鉄筋は1)変動荷重下では疲労限が低下する、2)腐食環境下においては疲労限が消失する、3)湿潤環境では鉄筋およびコンクリートの疲労強度は気中乾燥条件下におけるよりも大幅に低下する、といった材料の力学的特性の低下が引き起こされる。このような場において、コンクリート構造物の合理的な設計を行い、かつ耐用期間中に構造物がその機能を十分に発揮することを保証するためには、使用材料の疲労特性は勿論のこと、複合材料としての鉄筋コンクリート部材の疲労特性をも十分に解明しておくことが極めて重要となる。このような観点から、本研究では、海洋環境を含む腐食環境条件の相違がコンクリート構造物の疲労性状、とりわけ疲労寿命に及ぼす影響を明らかにするために計画した。すなわち、気中、真水中および海水中でのRCはりの疲労試験を実施し、水の存在や腐食環境条件の相違がはりの破壊様式や疲労強度に及ぼす影響を明らかにしている。さらに、繰返し荷重下で曲げ破壊をしたはりに対し、その破壊様式をコンクリート圧潰型と鉄筋破断型に分類し、材料レベルの疲労特性と部材レベルの疲労特性との関係についても考察を加えている。
まとめ
本研究は、海洋を含む腐食環境下のコンクリート構造物の疲労性状を把握するための手始めとして、先ず、コントロール用として、損傷のない健全な供試体を用い、疲労試験中(短期間)にのみ腐食環境の影響を受けるRCはりの曲げ疲労性状を明らかにすることを目的として行ったものである。したがって、ここで得られたRCはりの疲労特性は、実構造物の供用期間とその間に蓄積される腐食の問題が考慮されていないため、腐食環境下における(腐食)疲労特性の最も良好な(危険側の)結果であると判断される。ここでは、その点を強調し、研究の範囲内で明らかになったことを列挙し、結論とする。(1)RCはりの曲げ疲労破壊様式は、気中と腐食環境下(水中と海水中)で異なり、気中で主鉄筋の疲労破断によって破壊するはりであっても水中ではコンクリート圧潰型の破壊になりやすく、さらに海水中では水中よりも鉄筋破断型の破壊が生じやすくなる。(2)主鉄筋の破断で破壊するRCはりの200万回曲げ疲労強度は、鉄筋が置かれる腐食環境条件によって変わると考えられるが、一般に、ひびわれを許容するRCはりにおいては、気中から水中、水中から海水中へと腐食環境がシビアーになるに伴って疲労強度も低下する。(3)腐食環境下において鉄筋破断型の疲労破壊を示すRCはりの疲労性状は、同一腐食環境下の鉄筋の疲労性状とかなり密接に関係した挙動を示す。(4)水中および海水中において主鉄筋の破断で破壊するRCはりの疲労寿命の予測式として、土木学会が規定している鉄筋のS−N線式は適用できない。
PDFファイル名 014-01-2047.pdf


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