種別 報告
主題 アルカリ骨材反応を生じたコンクリートの応力解放後の性状
副題
筆頭著者 西山直洋(西松建設)
連名者1 阿部道彦(建設省)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 921
末尾ページ 926
年度 1992
要旨 はじめに
骨材のアルカリ反応性(以下AARと略す)の判定規準については化学法やモルタルバー法等の方法が確立されているが、既存の構造物に対しては表面のひび割れ状態や、コア供試体による物理および化学試験などの方法により劣化を判定しているものの、まだ規準が確立されるまでには至っていない。これらの理由として、構造物は鉄筋や応力などの拘束条件が加わり、劣化機構を一層複雑なものとしているために、画一化した判断規準を設定出来ないことがあげられる。また、これらに関する既往の研究は既存の構造物調査にとどまり、実験的な研究は実構造物の拘束条件を忠実に再現することの難しさから、あまり行われていないのが現状である。本報告は反応性骨材を使用した、実大の柱断面と同様な応力状態を再現した暴露3年目の試験体を用い、拘束されていた部分から採取したコア供試体について、その後の物性の経時変化を6ヶ月間にわたり計測を行い、構造物のAARによる劣化の評価を行う上で参考となる知見を得たので、その結果を示すものである。なお、本研究は昭和62年7月より建設省建築研究所と西松建設株式会社との共同研究として行ってきた”鉄筋コンクリートの劣化抑制・補修技術の開発”の一環として行った鉄筋等の拘束力下におけるアルカリ骨材反応に関する研究の内の追加実験である。
総合考察
コア供試体を採取した試験体は、約30ヶ月屋外暴露したものであり、その試験体の60週にわたる長さ変化率を図−10に示す。図−10によるとコア採取以前に0.4%近くの長さ変化があったことを示しており、この長さ変化と、コア供試体の長さ変化とは別々に検討する必要がある。この長さ変化経過は、その後ほぼ一定値で推移しており、鉄筋内のコンクリートは十分な拘束状態にあったと考えられる。次に劣化の判断規準となる圧縮強度とそれぞれの試験項目の6ヶ月測定値との比較を行った結果を図−11〜12に示す。これらの図では比較的良い相関性が見られるが、この図は6ヶ月時点の結果であり、これが経時変化との関係でとらえられればより有益な資料が得られるものと考えられる。また、コンクリートの標準養生4週圧縮強度が270〜280kg/cm2であることを考慮するとコア供試体の圧縮強度の低下はほとんどないものと考えられる。今回の試験はアルカリ量を8kg/m3と多量に混入したことや軸力をPC鋼棒で加えたことなどの特殊条件下で行ったものであるが試験結果から以下のことがいえる。(1)適量の反応性骨材が混入したコンクリートのAARはアルカリの十分な寄与があれば長さ変化は6ヶ月以上続くものと思われる。(2)当試験体のような3軸拘束力内のコンクリートは、AARによる膨張力が常時かかっている状態となっている。(3)実構造物程度の3軸拘束力がある部位のコンクリートでAARが生じても強度低下はほとんどないものと推定される。(4)AARが生じたコンクリートの調査を行う場合コンクリート表面のみの調査では構造物全体の調査を行ったことにはならず、応力状態を把握して調査を行う必要がある。また、コアによる強度試験だけを劣化判断手法とすることは問題がある。(5)柱部材で表面の劣化状況に惑わされず、全体的な強度を非破壊で確認する方法として、超音波伝播速度の測定は比較的有効な方法である。
PDFファイル名 014-02-1159.pdf


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