種別 | 論文 |
主題 | 超高強度コンクリートの熱的性質に関する実験的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 土井文好(大同工業大学大学院) |
連名者1 | 太田福男(大同工業大学) |
連名者2 | 斉藤辰彦(大同工業大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 15 |
号 | 1 |
先頭ページ | 109 |
末尾ページ | 114 |
年度 | 1993 |
要旨 | はじめに 高温下のコンクリート部材は熱が部材表面部分から内部に向けて順次伝達していくので、その劣化程度は表層部分が著しく、深部にいくに従って緩和される。このような状況下のコンクリートの劣化特性を把握するためには、まず高温加熱を受けたコンクリートの部材内部温度分布ならびにその熱移動速度などを予測する必要がある。このためにはコンクリートの熱的特性のうち、特に、熱伝導率ならびに熱拡散率が重要である。筆者らは、これまでに火害を受けたコンクリートの劣化診断をマイクロ波を用いて行う実用的な非破壊試験方法の確立のための一連の研究を行っているが、その中で、高温加熱された普通強度コンクリートの熱拡散率についてはすでに二、三の実験を行っている。また、熱伝導率については、普通強度コンクリートに関する原田、徳田らを初め古くからかなりの研究報告がある。一方、高強度あるいは超高強度コンクリートについては近年になって研究され始めたこともあり、熱的特性の測定そのものがきわめて難しいことも相まって、これまでのところ高温下の熱的特性に関する研究報告は数少ない。また、火災時のコンクリートは消火放水による高含水状態になり、一時的に強度劣化を示しても、その後コンクリート中の水分が未水和セメント粒子と反応して水和生成物を作り出すことによる強度回復がみられることが知られているが、高強度ならびに超高強度コンクリートの強度回復特性については明らかでない。このため、本研究では高温下にさらされた、超高強度コンクリートの熱伝導率と熱拡散率について測定し、同一条件下にある普通強度コンクリートの熱的特性と比較することによって、高温下にさらされた超高強度コンクリートの熟的特性を明らかにすることを主目的とする。さらに、超高強度および高強度コンクリートの火害後の圧縮強度回復度特性と普通強度コンクリートの特性を対比し、その相違点についても検討する。なお、ここで取り扱う火害相当加熱温度の範囲は100℃〜800℃までの範囲であり、熱拡散率の測定は筆者らの提案した3次元非定常熱伝導方程式を用いて行った。 結論 本研究によって得られた超高強度コンクリートの熱的性質の特徴ならびに加熱後のコンクリートの圧縮強度回復特性の特徴についてまとめるとおよそ次のようになる。(1)高温加熱下にある超高強度コンクリートの内部温度上昇曲線は普通強度コンクリートのそれと異なり、内部温度が120℃前後ならびに520℃〜570℃付近でも温度上昇の停滞は見られない。(2)熱伝導率(λ)は加熱温度が高くなるにつれて、ほぼ直線的に小さくなる。また、高強度のコンクリートになるほど、λは大きい値を示す。(3)熱拡散率(α)は熱伝導率と類似の傾向を示すが、加熱温度によるαの低下率は普通強度コンクリートのそれより小さい。(4)加熱後のコンクリートの強度回復率は、加熱後の養生方法にかかわらず超高強度コンクリートが最も顕著である。なかでも、加熱後水中養生した超高強度コンクリートの圧縮強度回復率は加熱温度にかかわらず常に室内放置コンクリートのそれより10%〜20%程大きくなり、その傾向が著しい。 |
PDFファイル名 | 015-01-1016.pdf |